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2000年09月22日
三原 淳雄

 
足らざるは余るなり
 

 好調な時には全く気にならない材料でも、地合いが悪いと全てが悪い材料に思えてくるのが市場の特長だろう。

 相場とは常に不合理なうごきを伴なうものであり、不合理な動きがあるからこそ強弱見方が分かれて、そこにチャンスも出てくるもの。

 いまの東京市場の動きなど、その最たるものだろう。 全員が浮かれ気分でいた年初には、たかがケータイの安売りやをITの星ように持ち上げて見たりと、不合理も極まった動きをしていたが、一転して地合いが悪くなってくると、全てが灰色になってしまっていって、外部材料も内部材料も弱気のストーリーを描けるものしか探してこない。

 アメリカに関しても年初はむしろ弱い材料を好材料として評価していたのではなかったか。 過熱が心配されていた米国経済が、ここにきて減速しはじめたのは予想されたコースであり、景気が減速すれば企業収益に影響が出るのは当たり前ではないか。

 グリーンスパン議長はそれを目指した金融政策を行なっていたのだから、NY市場の動向に振り回されている東京市場の姿は情けないったらありゃしない。

 こういう時にこそ思い出すべきは、先人の教えである。 「足らざるは余るなり、余るは足らざるなり」と、あの相場の名人の本間宗久翁がとうの昔に喝破しているではないか。

 原油やユーロなど目先の動きに振り回されていてはロクなことにはなるまい。

 米景気の減速は何れNY市場に金融相場となって現れてくるだろうし、更なる減速懸念に対してはいまのアメリカは金利の引き下げや減税などオプションはいくらでもあることを忘れてはなるまい。

 原油やユーロにしても上げ過ぎ下げ過ぎはこれも必ず何処かで反転するのだから、目先でうろうろするのが一番の愚策ではないだろうか。