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2001年01月18日
三原 淳雄

 
グローバル化した市場で勝ち抜くには
 

グローバリゼーションの株式市場への影響は、どの国の市場も多国籍化することが当たり前になるということだろう。

 投資家レベルで言えば、市場で競う相手はいまや世界中の人たちなのである。

 にもかかわらずその変化に最も遅れているのが日本の市場のように思えてならない。

 年末から年初にかけての日本市場の状況などその典型的な例で、NY市場や外国人の動向に一喜一憂するだけで、本邦投資家は持ち合い株を売るばかりだし、肝心の個人投資家は洞ヶ峠にでもこもってしまったのか、そのシェアは低下するばかり。

 日本の市場でありながら、主導権は全て海外勢に握られっぱなしという状況になってしまっていた。

 やれ持ち合い株がまだまだ出てくるとか、トヨタが株を売り出すらしいとか、ドコモが巨額なファイナンスをするらしいとか、相場が下げれば弱気を声高に叫ぶエコノミストや学者につられて、全員が評論家になってしまって買えない、買わない理由ばかりを探していたのではなかったろうか。

 こんな体たらくでは、またいつものようにバーゲンにも似た安値を、いつの間にか外国勢にごそっと持っていかれてしまうし、事実すでにそれは始まっているようだ。

 外国人売りだとさわいでいた12月も、実は外国人は買い越していたし、ドコモが増資を発表した翌日も市場の手口を見ると、日本の売り、外国の買いになっている。

 高値で買っては安値で外国勢に売り渡しているばかりでは、いつの間にか膨大な富が外国に移転するばかりではないか。

 本来であればいよいよ世界のケータイビジネスの制覇に乗り出すドコモの戦略を、日本人なら応援するのが筋なのに、わざわざ190万円台の安値で外国に売ってあげるとは、まことに悲しいことである。

 グローバル化した市場で勝ち抜くには、こちらのスタンスもグローバルにしなければならないのは当然である。 そのためにはリスクの考え方を旧来のものとひっくり返してみる必要がある。 株が上がれば買ってくるのがこれまでの日本の常だったのなら、これからは下げで買うようにするべきだろう。

 企業の実体と市場の需給関係は、長期的にはさして関係はない。 むしろ需給関係で不合理な場面があれば、そこがチャンスなのである。