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三原淳雄
 
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2001年02月15日
三原 淳雄

 
目標を失って迷走する日本
 

 外国の日本を見る目が、最近とみに険しさを増している。 アメリカ経済の減速が日毎にハッキリしてくるにつれ、いやでも日本のもたつきぶりが気になってくるのだろう。

 なかでもリードーであるべき首相の一挙手一投足が、本当にこの人は何かを真剣に考えているのだろうかと、疑わせることばかりなのだから、彼らの苛立ちもその極に達するのも無理はない。

 未曽有の不況に入っているというのが正しい認識なのだが、リーダーたる首相がこんな有様だから、財政も金融も自分達の面子や立場しか考えなくなる。

 これだけの経済規模を持ちながら、ここ数年間もGDPの名目成長率の方が実質成長率より低いという状態になっているのは不自然な話なのだが、この異常な状況に対しての適切な政策も出てこない。

 いくら金利を下げても、名目成長率が低ければ実質金利は高いのだから、そんな時にわざわざ金まで借りて投資をしようなんて奇特な人が出てくるわけもない。

 金持ちはたとえ名目金利が低くても実質的には何もせずにリスクなど取らずにいても、金の価値が上がっていくのだから、何も危険を犯してまで新規投資などしてくるはずもなかろう。 ただじっとしていればいいのだから。

 金を借りる人が少なくなれば、金利を払う人もいなくなるのだから、預金者の金利が上がるはずもないし、銀行も利幅が小さくなれば利益も出なくなる。 かくして不良債権の処理も遅れがちとなり、それがますます日本経済を追い詰める。

 量的緩和をしてもその効果は限定的という日銀の言い分も、このあたりにあるのだろう、いくら緩和しても借り手が出てこなければ、その資金は国債市場に回って、更に金利を下げるだけになってしまう。 これがいまの日本が陥っているジレンマのひとつなのである。 この妙な堂堂巡りを打開するには、21世紀の日本が何で食っていくのか、そのためには何をしなければならないのか、そのなかで民間の果す役割は何かなど、明確な方向づけをするのが政治及び政策当局の本来の使命なのだが、それがさっぱり見えてこない。 外国からの目が厳しいのもさることながら、それを最も敏感に反映しているのが、いまの株価だろう。 だとすると究極の株価対策はやはり首相にその座を退いて貰うことなのかも知れない。