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三原淳雄
 
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2001年02月22日
三原 淳雄

 
変化の兆しに気付くものが勝つ時代
 

 株式市場に限らず全ての市場にとって最大の材料は変化である。

 今日も昨日と同じだった。 明日も今日と同じだろうといった状態が続けば、どんな市場だって動きようがない。

 昔はよく「株屋殺すにゃ刃物はいらぬ、寄引同値でざら場なし」という戯れ言があったが、将に言い得て妙とはこのこと、変化がなければ市場は退屈極まりないものとなる。

 変化があるからこそ市場は退屈ではなくなるし、時として非常に刺激的なものとなるのである。

 一口に変化といっても目にみえるものもあるし、全く目に見えないものもある。 なかでも目に見えない変化に対応するのが一番難しい。 目に見えれば理解も出来るし、どうすべきかも判り易いのだが、元来人間は保守的な傾向もあり、目に見えない変化には本能的に拒絶するきらいも強い。

 つまり「そんなはずはない」「世の中の方が間違っている」といった反応は、その典型なのである。

 しかし時として変化は個人的な事情や感情を抜きにして容赦なく押し寄せてくる。

 いまスーパーをはじめとする流通系や小売業が四苦八苦しているのも、いつの間にやら大きく進展したグローバル化やデフレ化によるものだろうし、持ち合い株解消で需給が悪化し苦しんでいる株式市場も、世界的な経営の効率化や国際会計基準の導入などの変化によるものと言えるだろう。

 最近聞かれなくなったが、ひところ格好良く唱えられていた「フリー・フェア・グローバル」こそ、いま日本を悩ませている大きな変化なのである。

 市場経済化する世界、なんて言えばやたら先端的で近代的に聞こえるが、実際は極めて非常で厳しい世界になると言うことであり、チャンスのあるところには世界中からすばしこい連中が入り込んでくる時代なのである。

 自由で公正で国際化すればするほど、コネや談合といった日本的な兵法は通用しなくなるし、残念ながら義理や人情ビジネスも出来なくなるだろう。

 この変化のなかで勝ち抜くには、いち早く変化の兆しを察知し、素早く対応するしかない。 もちろん兆しだからそのまま消えることもある。 だから市場にはリスクがあるのだが、リスクをとらねばチャンスもない、それが市場の厳しさでもあり楽しさなのである。