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2001年03月08日
三原 淳雄

 
国民を元気にする構造改革をしよう
 

 やっとそれらしい株式市場対策が日本にも出てきはじめた。

 先週水曜日の日経のトップ記事に自民党の一連の対策が報じられ、それがたとえ観測記事であるにしても大層結構なことだし、やっと本気に取り組みはじめたかと同慶の念に耐えない。

 ただ問題なのは、これだけのニュースが出たにもかかわらず、当日の株式市場は下げて終わり、少しも好感しなかったことである。

 多分市場ではどうせお題目ばかりを並べただけで、実際に実行されるはずもないと読んだのであろう。

 もう既に与党内からも反対の声が出ているし、例によって不公平な税制だとか、金持ち優遇策は怪しからんと言った世論を気にしているのは確かである。

 バブル崩壊前の日本であれば、確かに金持ちに有利なシステムになっていたのは間違いない。 金を借りられる人たちだけが株や土地をどんどん買えたのだし、借金してでも買えば儲かったのだから、そんな連中に優遇税制なんて飛んでもないという意見は正しい。

 しかし、いまや右肩あがりどころか全てが右肩下がり、折角買ったマンションは資産形成どころかマイナスの財産になってしまったし、老後のために備えた投信もマイナスの時代なのだから、誰も買わなくなった土地や株を買ってくれる投資家には多少のメリットがあってもいいのではないだろうか。

 いまいちばん心が安らかな人は、これまでリスクなどとったことがない人たちだ、というのはいささか市場経済を標榜する国としてはむしろ問題だろう。

 父親がリスクをとって事業を興したり、遅くまで働いて頑張ったとしても、会社が潰れたりリストラされたりしている現状を見れば、子供たちだって目標を失ってしまうのは当たり前である。

 この当たり前を変えるには、やはり頑張った人にはきちんと報いるシステムが必要であり、それを作ることが本当の構造改革なのではないだろうか。 無間地獄にも似てきた不良債権処理の問題にしても、最終的な買い手が出てこなければいつまでも先送りするしかないし、議論も空論ばかりで終わってしまう。

 選挙も近いし、今回は美辞麗句に惑わされず誰が真に国民を考えているかを有権者をしてしっかり見定めなければなるまい。