三原淳雄の言いたい放題 mihara-atsuo.com
プロフィール
三原淳雄
 
  ホーム言いたい放題 > バックナンバー

2001年07月06日
三原 淳雄

 
ないないづくしで苦しむ市場
 

 小泉首相の初外遊は顔見世的だったこともあって、各国とも歓迎のムードで無事終わったが、さて本番はこれからである。

 小泉首相は、ブッシュ大統領やブレア首相、シラク大統領などと意思の疎通ができたのは確かだが、同時に彼らに大きな期待を持たせたことにもなる。

 世界経済が低迷色を強めるなかで、最も問題視されている日本のトップがやってきたのだから、外国としても日本への期待は大きくなるのも当然だろう。

 とくにアメリカはこれまで単独で世界経済を引っ張ってきただけに、今度はおまえの番だとばかり、日本に大いに期待してくるはずであり、今後は当然具体策を求めてくるだろう。

 さて、そこで気になるのはどんな具体策を小泉内閣は考えているのかであるが、それがさっぱり見えてこない。

 「骨太の改革」と言葉だけは勇ましいが、既にもうカルシュウム不足ではないのかとか、骨ばかりで肉がないという批判もある。

 うまく出来たジョークに「トンネルの出口に光りが見えたが、実はこの光はこちらに向かって突進してくる小泉改革号という機関車のヘッドライトだった」と言われているほどだから、痛みに対しての鎮痛剤も用意してくれなければ困る。

 そのあたりを気にしているのだろうが、株価もこのところ下がり放しで、口の悪い兜町雀たちは小泉内閣は「ないないづくし」とすら酷評する向きも出てきた。

 つまり、骨太には肉がない、痛みには痛み止めがない、改革は先が見えない。 デフレには底がない、株式には買い手がいない、という意味である。

 参院選も小泉人気で自民党が勝てば守旧派議員がごっそり当選するし、負ければ小泉内閣もぐらつきうっかりすると解散の可能性もある。 政局は石原新党などの出現で大荒れになるかも知れない。

 市場活性化こそが先決問題であり、それしかいまの日本を救う方法はないと叫んでいる身としては、市場の声をもっと小泉さんに謙虚に聞いて欲しいと願っているのだが、市場は市場に任せるといった反応しかいまのところ聞こえてこない。 外気は猛烈な暑さとなっが市場は当分寒風にさらされそうである。