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2002年03月08日
三原 淳雄

 
阿呆な政府にはもう頼らない
 

 事態の深刻さにやっと気がついたのだろう、ここにきて急に「デフレ対策」という言葉がもてはやされはじめた。

 何をいまさらと思わないでもないが、折角気がついたのならもっと大胆にやるべきであろう。 本来経済運営がうまくいっていたら、対策などは必要がないはずだし、政策が間違ったから対策が必要となったのだから、対策を打ち出す前にまず失政の反省をしなければならないのではないだろうか。

 狂牛病がその典型である。 こうなる可能性をわかっていながら放置し、いざ出てきたら慌てて対策を出す。 その対策もまず失政の責任を回避することを主目的としたために、その原因は隠され枝葉末端の部分のみが公表され、税金でその場をしのぐ。 そこを見透かして企業も悪乗りするのではないか。

 今回のデフレ対策と称して出てきた空売り規制なども好例である。 これまで散々外資系にいいようにされていながら見て見ぬふりをきめ込み、株式市場がどうにもならないところまで追い込まれてから規制もどきの措置に出るなど、市場の番人としての役目の何たるかを全然理解していないとしか思えない。

 自分たちの言うことを素直に聞く日系証券会社には、居丈高な姿勢で臨むくせに、外資となると腰が引けてしまう姿は情けなさを通り越して憤りすら覚えるのは私だけではあるまい。 そしてやっと出てきたデフレ対策も、これまで何度も出て来た棚ざらしの時代遅れのものばかり、もっと早くやっていれば効き目もあったのに、有効期限切れの薬みたいのものを並べられても、先送り商品の見本市でしかない。 そもそもデフレ対策という名前からしておかしい。 いまやるべきはこんなちまちました対策ではなく、将来の日本のグランドデザインとなるべき大胆な「日本大改造計画」なのである。

 「構造改革」なんて古びた怪しげな言葉をもて遊ぶからこんな景気になってしまうのである。 改革は英語ではリフォームと言う。

 戦後のつぎはぎだらけの古い家を、どんな新しい家に建て直すのか、その設計図を見せるのが政府の仕事のはずである。

 市場はもうこんな政府に愛想をつかし、悪材料はかなりの程度織り込んでいるようだし、ここから日本がどうなろうと自力で頑張る企業に焦点を合わせ始めたのではないだろうか。

 政府などには頼らない。 これがこれからの最も必要な視点だろう。