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2002年05月23日
三原 淳雄

 
経営者を買う株式投資
 

 景気の悪化にほのかながら底打ちの動きが出てきはじめた。 先行指数もまだ水面下ながら上昇の兆しが見える。 しかしその主な要因は円安、米景気の立ち直り、アジア経済の復調によるものである。 収益が好転している企業の多くはこれらの外部要因の恩恵と、厳しいリストラ努力によるもの。 人気が気になる竹中経財相などは早速景気底入れ宣言を考えたようだが、これで本格的な景気回復へつながると判断するのは早計だろう。

 しかし、そうはいってもいい兆しであることは確かであり、不況のなかで必死に自力で頑張っている企業の努力のおかげである。 そういった企業は素直に評価するべきだろうし、市場もそのあたりを個別にきちんと評価しはじめていることに気付く。 ゴーン社長が登場した時の日産自動車の株価は300円台、それがいまは1,000円の大台乗せとなっているのが何よりの好例だろう。

 ゴーンさんを信じた人は報われたのである。 いまは日本のみならず世界中に会計不信や政情不安、政府不信、金融不安などなど「不」の字が溢れている時代だけに、ゴーンさんのような正直で信頼出来る経営者を選ぶことが、株式投資の重要な指標となってきた。 全体の動きを示す日経平均やTOPIXも大切だが、個々の企業の内容の変化の方が投資家にとってはもっと大事な時となっているのではないだろうか。

 「不」の字が溢れている時代だからこそ、逆に真に信頼に足る企業の経営者を選び易い時代になったと言えなくもない。 コンセンサス重視経営からトップのリーダーシップが企業の浮沈を大きく左右する時代に変わりつつあり、市場もそれを評価しはじめている。 リーダーシップのある正直な経営者を買うことが失敗しない株式投資の第一歩となってきた。