市場経済の最も大切な基本は正直、信頼、信用である。
約束ごとは正直に守り、だから信頼されて信用もついてくるし、取引も円滑に行われる。
これは何も株式市場だけの話ではなく、全てのビジネスに共通する三大要素なのだが、何が何でも儲ければいいという拝金思想が蔓延したために、その最も大切な三大要素が疎かにされてしまった結果、世界中の株式市場が根底からおかしくなってしまったのである。
FRBのグリーンスパン議長が議会証言でいみじくも「伝染する強欲」がいまははびこっていると警告していたが、日本の食品をめぐる騒ぎやアメリカの会計疑惑はまるで伝染病である。
こんなインチキ経営がされているのでは、生命から二番目に大切なおカネを、わざわざリスクにさらしてまで投資などしたくなるはずもない。
かくして消費者も投資家も不信感にさらされ、消費も投資も手控えてしまう。
経営者にとって金儲けは大切なことだが、だからといってルールを踏み外していいというものではない。
ルールは守るためにある。
投資家はそのルールを信じてリスクに挑戦していることを、世の経営者は改めて胸に手をおいて考える必要が大いにあるだろう。
自社の株価が何故安いのか、それは経営者が信用出来ないからなのである。
日本にもその昔は松下さんや本田さんのように高い志と将来への夢を持ち、勇気をもって行動する経営者も沢山いたではないか。
そういう立派な経営者に共感し、株主になった投資家の多くは、大きく報われたという歴史もある。
株式投資の原点は経営者の志や夢、そしてその勇気を買うことなのであり、経営者もその原点に立ち、初心に帰って経営するべきだ。
逆に考えればそんな経営者が少なくなっているいま、投資家にとっては真の経営者を探す得難いチャンスなのかもしれない。
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