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2002年10月24日
三原 淳雄

 
虫よりも 泣く人多し株の秋
 

 「虫よりも 泣く人多し株の秋」、最近目にした川柳だが世の中にはなかなか洒脱なひとがいるものだ。

 しかし株式市場は川柳を笑っていられるような生易い状況では無くなってきた。

 いまや日経平均は1万円を下回り放しなのに、奇妙なほど危機感が薄れているのは何故なのだろうか。 それどころか公的資金を銀行に強制注入して国有化してしまえ、と言った極めて乱暴な意見が強くなりつつある。 つまり不良債権を急いで処理すれば景気は良くなると言うことだろうが、ちょっと待っていただきたい。 銀行を国有化するということは大幅な減資が前提になるので、既存の株主の株券は紙屑になる可能性がある。

 減資とは法人、個人を問わず株の価値がゼロになるのだから、世の中は地獄になるのは必至だろう。 特に銀行株の大株主である生保に与える影響は甚大となるので、国民の多くが何がしかの被害に会うだろうし、多くの企業のバランスシートはますます悪化し体力を失い、リストラに拍車をかけざるを得なくなる。

 早めに手を打っていればもっと安上がりで痛みも少なかったのにと、悔やんでも悔やみきれないのは私だけではあるまい。 だからといってただぼやいているだけでは何にもならない。 昔から「災い転じて福と為す」という諺もあるように、一見災いと思えることも対応如何では願ってもないチャンスになることもある。 改めて冷静に株価欄を見ていただきたい。

 それにしても株価はよく下げたものだと驚かれる筈である。 とうとう1部市場の配当利回りは国債より高くなってきたしPERも20倍を切ってきた。 配当利回りが1.2%を越える銘柄が900以上、PBR(1株当り)が1以下もやはり900以上もある。 仮にこれ以上マクロ経済が悪化したとしても、これらの全てが倒産するわけでもないし、電力や食品、薬品などは景気の如何にかかわらず必要な業種なのだから、デフレ対策としてディフェンシブなポートフォリオを考えてみるのも一法である。

 個別銘柄にはもっと好条件で割安なものもゴロゴロ転がっていると考えるべきだろう。 マクロを気にしていてはとても株式投資など考える気にもならいだろうが、泣くばかりが能ではない。 ここは思案のしどころ。 日本が墓場に入っても生き残れる企業を、目を皿にして探さして生き残ろうではないか。