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三原淳雄
 
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2002年11月14日
三原 淳雄

 
歴史に学ぼう
 

 人の噂も75日とかでとかく忘れっぽいのが日本の特長だが、また「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」という言葉通りの展開になってきた。

 つまり過去を忘れてしまうので、折角歴史が残してくれている教訓を生かせていないのである。 だから同じようなことを何回も繰り返す事になる。 政策担当者がもっと謙虚に歴史に学ぶことを考えていれば、一寸よくなったからといっては手を抜き、そしてまた悪くなるとやれ不良債権だ、公的資金だ、補正予算だなどと騒がずにすんだはずである。

 そうした失態ばかりが続いたお陰で日本の状態は98年11月とそっくりになってきた。 あの時は山一、長銀と大型破綻が続き、それに慌てた政府が急遽公共投資を中心に大胆な需要創出を行い、アメリカのITブームもあって景気も立ち直ることが出来たのだが、今回も危機的な状況は当時とよく似ている。 むしろ今回の方が危機の度合いはより大きくなっているのではないだろうか。 98年の時は折角上向きになった景気を橋本内閣の消費税上げ、社会保険料の負担増によって潰したのだが、今回は3月危機を乗り越えたことで「これでいいのだ」と手を抜いただけでこれだけ悪くなっているからである。

 5〜6月ごろに先走りの平蔵氏がなまじ景気回復宣言などするものだから、とたんに株もおかしくなった。 9月に入っても日経平均は九千円割れとなってちゃんと警告を発していたのに「株は上がったり、下がったりするもの、何れ上がるでしょう」なんてのんびりしたことを官房長官がいっているぐらいだから、官邸にはまったく危機感などなかったようだ。

 これでは投資家も動くに動けない。 リスクをとる身としてはせめて前途に薄明かりぐらいは欲しいのだが、首相自ら消して歩いているのだから、当分は様子を見るしかあるまい。 そろそろ来年の見通しを考えなければならないのだが、何とも困ったことである。 その間われわれもダメな手抜き政府の次の手を読むべく、歴史に学ぶことを心掛ける方がよさそうだ。