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2002年12月26日
三原 淳雄

 
株式投資の多様化を考えよう
 

 株式投資とは安く買って高く売るものと考えがちの日本に、来年からは大きな変化が起きそうだ。 今回の証券税制改正によって配当金に対する税率が五年間は10%ですむようになったために、株式投資を利回りでも考えられるからである。 株価が大幅に値下がりしているために、配当利回りは大幅に上昇している。 3%前後でポートフォリオを組むことも可能になった。 3%の配当利回りで五年維持すれば15%前後の元本が配当金で回収出来るのだから、ゼロ金利の預貯金を続けたりすれば15%値下りしても預貯金と同じ、その間値上がりでもすれば投資効率も大きく上昇する。 過去50年間配当を目当ての投資など考えられなかったのだから、大いに注目するべき変化だろう。

 株式には本来経営を支配するための支配証券、配当や値上がりを狙う利潤証券、会社を解散価値で計る物的証券といったいくつもの機能がある。 ところがわが国では企業間の株の持合い制度などで支配証券の機能は働いていなかったし、そのため配当政策も一般株主をさして考慮する必要もなかった。 上場企業の破綻も少なかったために物的証券としての機能も働かず、そのため投資家は値上がりしか楽しみがなかったのである。

 その日本のシステムがグローバル化、不況の長期化で大きく揺らぐこととなり、持合い制度の崩壊は、物言う株主を増加させ、また株価が安いと買収される時代にもなってきた。 支配証券としての株式の復活である。 当然経営は常に株主にチェックされるし、株主の期待に応えなければ株は売られ値下がりして、買収されてしまう。 それを避けるためには株主の期待に応え株価を高く維持しておく必要がある。 配当を高くすると株価も相対的に上がるため、今後力のある企業は増配するようになるだろう。 投資家にとっては成長を買う、利回りで買う、支配するために買う、など様々な理由で株式投資を考えられる時代になったのだから、投資の発想も変えるべきだろう。 正月休みに戦略でも考えてみては如何だろう。