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三原淳雄
 
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2003年01月15日
三原 淳雄

 
転機は絶望から生まれる
 

 景気予測は多数派が外れるというジンクスがあるとか。 言われてみれば確かにその通りで年頭のアンケートを後で検証してみると、かなりの確率で結果は逆になっていることが多い。 それは多分人間の心理のもたらせる業であり、予測が楽観的だと全員が安心してしまって手を抜くだろう。 逆もまた真なりで予測が真っ暗だと当然世の中の動きも違ってくる。

 今年の予測が出揃ったが案の定ほぼ全員が悲観的である。 これは当り前でありまともに考えれば悲観しないほうがおかしいほど世の中は悪材料で一杯になっている。 国内はデフレ解消の目途もないし国外に目を向ければイラクや北朝鮮など、これまた不確定な心配の種ばかり。 当然株式市場も神経質な動きにならざるを得ないため、金融システム不安や不良債権の増加懸念も増す。 そのためまた株価や地価が不安定になり不安はますます高まる。 こんな時に明るい予測など出来る筈もない。

 しかしだからこそ世の中が変わるのだと読むことも出来る。 お先真っ暗になればなるほど自分で頑張る人も出て来るし、企業も死に物狂いで生き残り策を探す。 政府も本格的に対策を打ってくる。 またマスコミも大騒ぎをするので政治家の動きも急になり思い切った政策が出て来るだろう。 その動きが出てくれば株式市場も変わってくるので、俗にいう「不景気の株高」現象となる。 株価が上がれば金融システムも安定するし資産デフレにも歯止がかかり、不良債権処理も進むし企業や家計のバランスシートも改善されるので設備投資や消費も活性化するだろう。

 すでにご案内のようにアメリカは新年早々に大胆な減税策を出してきた。 イラクや消費減少懸念に対しての対策であり、これはじっくり効いてくるのは確かだろうから米経済失速懸念は薄らいできた。

 当然今度は日本の番であり支持率を気にする小泉政権も何かはしなければならなくなった。 3月危機など起こせば政権も危うくなるため思い切った対策が迫られるのは必至である。 景気予測は多数派が外れるのはそのためであり、今年はその可能性がが高くなりつつあるのではないだろうか。 「強気相場は絶望のなかで生まれる」と言われる由縁である。