バブルを強引に潰した結果の資産デフレと中国の台頭による物価デフレが連動し、日本を深刻なデフレ不況に追い込んでしまった。
物価の下落は暮らしを豊かにするといったノー天気なデフレ礼讃論も、いまではすっかり影をひそめてしまったが、怪しからんのはその礼讃論をしきりに唱えていた連中が、いまは構造改革をちゃっかり叫んでいることである。
世間を誤らせた連中が政府に取り入ってまた政策を迷走させているのだから、まことに憂慮に耐えない。
これでは当分デフレは続くだろう。
残念なことにそのデフレのしわ寄せがいまや雇用や賃金にまで及び、物価より収入の落ち込みの方が大きくなってきた。
物価下落が有難いのは収入があってのこと、肝心な職や収入が減ったのでは耐まったものではない。
デフレは政策の如何ではインフレより始末が悪いのである。
かくなるうえは生活を守るためにも自力で収入の増加を図るしかない。
幸い日本にはまだ700兆円を上回る個人金融資産があり、その資産を有効活用させれば、デフレにも対抗出来るはず。
増えない収入には資産を増やすための努力をせねばなるまい。
マクロ経済的にはデフレはまだまだ続くと考えざるを得ないが、ミクロで見ると努力次第ではデフレに勝つチャンスも見えてきつつある。
中国は完成品ではデフレ要因だが、その中国を中心に個別で利益を上げている企業に目を向けると意外な動きが見えてくる。
とうの昔に激しい競争にさらされた海運業界は、徹底した合理化で利益が出易い体質に変わっているが、そこに時ならぬ中国・アジアの活況でいまや船が足りなくなっているし、荷造りに必要なダンボールを中心に製紙業界も好調である。
それが古紙の値上がりとなってトイレットペーパーの値が上がり、いまや古新聞の盗難騒ぎとなっているのはご存知の通りである。
中国の台頭で完成品は値下がりが続いているが、一方では製品の増産は原材料不足となって値上がりする品も多い、かつては構造不況業種と呼ばれたセメントや鉄、化学などに値上げの動きが広がっているのは注目に値するだろう。
古新聞に目をつける人のように、いち早く変化に気付くことが、デフレを勝ち抜く知恵といえるのではないだろうか。
先きんづれば人を制し、ついてはカネまでも制するのである。
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