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三原淳雄
 
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2003年04月03日
三原 淳雄

 
乱世をチャンスに変えるには
 

 開戦直後の大方の予想とは異なり、イラク戦争は意外に長引きそうだ。

 敗色濃くなればさっさと軍服を脱ぎ捨て、民間人になりすます軍隊を相手に対し、民間人の犠牲を出さずにキレイに戦争をしようとする米英軍側も、これからずい分手こずることになるだろう。 戦争がイラク国内で行われている分には、多少長びいても国際経済への影響は限定的だろうが、テロが拡散されるような事態になると経済活動には多大な影響が出てくるのは確かである。

 旅行者が減れば航空業界やホテル業界は大変だし、消費者心理も冷え込む。 資金も株式市場から債権市場へと移動するだろうから、株価も金利も下がる。

 金利が下がるのは一見よさそうに見えるが、経済活動が停滞し先行き暗いということだから資金の借り手が少ないので、必ずしも明るい話ではない。 金利は名目経済成長率と同じ程度であることが望ましいのだが、日本の名目成長率はマイナスなのだから、たとえ金利はゼロでも動かずに預貯金にしておこうと考えるのも無理はない。

 しかし、中長期的な投資家にとっては、こんな時はいい株が安く買えるチャンスなのである。 その企業の収益が戦争や不況などで大きく落ち込む懸念は少なくても、周囲の気分の悪化によって不当な安値にまで売り込まれることが起きる。 かの有名なファンドマネージャー、ピーター・リンチ氏は経済分析や相場の見通しは年に15〜30分しか時間を費やさない。 目先の出来事や不確実な経済を占っている暇があれば、どんな時でも確実に利益を出し続ける企業を探すことが勝つ秘訣だと言っているように、たとえ国全体の景気が悪化しても、ちゃんと利益を出す企業は探せば必ずある。

 昔から不況に強いのは薬品や食品と言われているように、好不況にかかわらず必要な製品を作っている企業はある。 そうした企業も市場の弱気ムードに押され、時として思わぬ安値をつけることであるが、リンチ氏のような伝説の投資家たちはそこで行動を起こして成功しているのである。 人と異なる行動をとることを「逆張り」というが、「逆張り」と一言で片付けるのではなく、むしろ合理的な考え方で不合理な動きをする市場から利益を得る方法と考えると判り易い。 ただ言うは易く行うには難いので、要は勇気がカギとなる。