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2003年04月12日
三原 淳雄

 
大袈裟な悲観論を排す
戦争は世界不況にはつながらない
 

 世界の目がイラク戦争に向いてしまったために、経済や株価の悪化も全て戦争のせいにしてしまったようだ。 竹中さんなんかは戦争こそ諸悪の根源とばかりに、自分の失政を戦争に押しつけようとしているが、戦争が本当に世界経済を泥沼に陥れるのだろうか。 もちろん地政学リスクは大きいし、予測出来ない事態も出て来るだろう。

 しかしイラク戦争が始まったために消費も設備投資も住宅需要も、何もかも全てが落ち込んでしまうとは到底思えないのである。

 歴史を振り返っても戦争で世界同時不況になった例はないし、株式市場はその先行きを早目に織り込むのだとすると、始まるまでは不安でもいざ始まってしまえばむしろ不安は薄れてくるものだ。 太平洋戦争時にNY市場が上げ始めたのは昭和17年の5月、まだ日本海軍がミッドウェー海戦で大敗を喫する前である。 デフレにイラク戦争が加わったため、景気の先行きは真っ暗だとマスコミは騒ぎ続けているが、戦争は破壊する一方で軍需及び戦後復興という一大需要をもたらす。 イラク戦争がベトナム戦争のように10年以上も続くなら話は別だが、戦力の圧倒的な差からみてもそんなことにはなるはずもない。

 イラク戦争の費用や戦後復興のための資金を、誰が負担するのかが大問題であるのは確かだが、幸いイラクには石油がある。 世界経済への影響も大きくはならないだろう。 従っていま日本政府のやるべきことは、戦争ではなく緊縮財政によって減少した需要を作り出すことである。 小泉改革路線が失敗だったことは株価が21年来の安値に落ち込んだことで証明されたのだから、イラク戦争を口実に政策を大転換するにはむしろ小泉さんにとっては神風のはずである。

 政策が変われば企業も遅れがちになっていた設備投資などを始めるだろう。

 そのためにはまず今回発足した産業再生機構をフル活用して、負け組み企業の退出を図り、それによって経済的混乱が生じたなら思い切って公的資金を発動させればいい。

 負け組が整理出来れば勝ち組にとっては「ウィナー テークス オール」で一人勝ちとなる。 不況の根源とされているゼネコンや金融などから一人勝ち企業がでてくるだろう。

 イラク戦争の先行きもそろそろ見えて来た。 ここはやたらに悲観論に組みするのではなく、冷静に戦後の世界を見通す時だろう。