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三原淳雄
 
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2003年05月08日
三原 淳雄

 
政府は株を買い上げろ痛みの責任をとれ
 

 日本経済が元気だったころ、欧米の雑誌はこぞって旭日の日本を讃える一方で、如何に日本の脅威を封じ込めるかに躍起になっていた。英国の名門ケンブリッジ大学では日本語学科の人気が高く、なかでも日本経済を受講する学生が激増し、そのなかの何人かはいまも日本にある外資系証券会社で活躍しているが、彼らの話によるとこのごろは日本語学科を受講する学生は激減しているそうだ。最近もアメリカの有力研究機関であるブルッキング研究所で20年来日本を研究していた著名なエドワード・リンカーン氏が、日本関係の予算削減で研究所をリストラされてしまったとか。もはや欧米では日本の魅力が失せ、日本はメシのタネにはならなくなったのである。日本経済が強かったころのジャパン バッシング、下降しはじめたころのジャパン パッシング、そしていまやその存在すら無視されるジャパン ナッシングになってしまった。

 この主要な原因は日本のあらゆる市場が急速に魅力を失ったことにある。元気な日本なら資金を調達するのも運用するのも日本ということで世界中から銀行や証券会社が押し寄せ、結果としてビルやマンションの家賃も上がり不動産市場も元気になった。

 市場が元気なら消費市場も活性化し、世界中の有名ブランドが日本に店を開く、80年代は町並みもキレイになり雇用も大きく増加した。しかしいまはほとんどの市場が元気を失い下降を続けているため、外資系企業は続々と日本から撤退しているし、外国のマスコミまで日本の支局を閉鎖し中国へ移っている。

 空洞化はいたるところで起きはじめているが、これも日本のありとあらゆる市場が縮少しているのが原因だろう。

 小泉政権発足以来改革という美しい言葉の影で日経平均は45%、時価総額は160兆円も減少してしまった。自民党をぶっ潰すと公言した首相だが壊されたのは市場であり、小泉首相はマーケット、デストロイヤーとなってしまった。それでもまだ意味不明な改革路線にこだわり、改革をまっしぐらに進めるそうだから、市場は奈落の底へまっしぐらに落ちていくのだろう。「痛みに耐えて改革を」がキャッチフレーズだが、もう痛みは限界にきた。

 いまこそ市場の悲鳴に耳を傾け、20兆円ぐらい用意して余剰株式を買い上げるべきだろう。市場の空気が変われば民心も変わるのである。