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2003年05月19日
三原 淳雄

 
鏡に化粧するより実体の改善を
真の株価対策は政策の総動員しかない
 

 どんな市場でも売買の自由が原則だが、日本の株式市場はどうもそうはなっていないようだ。株価が危機的水準まで下がってくると、その度に株価対策が叫ばれて、出て来る対策は売りを制限するものばかり。

 つまり下がるのは売りが悪い、だから売りを厳しく取り締まれば下げはとまるといった考え方が対策の中心になっているようだ。空売りや自己売買の規制が出されたり、銀行や年金の売りを制限したり先送りしたりする今回の対策などその典型であろう。

 売りが多く出れば株価が下がるのは当然だが、その売りを根本的に減らしたいのなら売りたくなくなるような対策を出すのが本筋であり、目先き的に抑え込むだけでは売りを決して止めることにはならない。

 よく言われることだが株式市場は経済の実体を映す鏡なのだから、鏡にいくらお化粧しても何れ化けの皮は剥げる。実体には何の変わりもないからである。

 年金の代行返上や銀行保有株の売りによる需給の悪化も、もとはと言えば株価が下がったからであり、株価さえしっかりしていれば本来出てくるはずもない売りなのである。

 何故売りが止まらないのか、それは日本経済の将来への希望が拓けないからであり、将来への恐怖が売りを次々と誘っているのである。

 いまの株式市場の姿は太平洋戦争時のガダルカナル戦そっくりになっているのではないだろうか。敗色濃いなかで、兵力を小出しする作戦にこだわり、その結果島どころか本土まで焦土になり敗戦につながった。

歴史に学ぶのであれば、いまこそ戦力の全力投入を行い総力を挙げて日本経済の敗色を一掃することである。幸い日本にはまだカネがあるのだから、いまは株を売るときではなくむしろ買い時だと市場が信じる対策を出せば、市場のムードは一変するだろう。

 小手先の小出しの対策は市場の投機家を喜ばせるだけ。考え得る政策を総動員して一気に敗色を払拭対策なら市場は大歓迎するだろう。