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2003年09月11日
三原 淳雄

 
増えない時代の増やし方
               儲ける企業に投資しよう
 

 少子高齢化の進行で人口は減少に向かう、デフレの定着で月給などの所得も増えないし年金も減る。企業のリストラ強化で職を得るのも難しい。おまけに低金利で預貯金にしているだけでは利息もつかない。つまり「増やす」という強い意志がなければ増えなくなった時代になったと言えるだろう。

 「増やす」と「増える」は大きく異なる。かつて高度成長を誇った当時の日本なら、さして増やす努力をせずとも、所得は毎年上がったし株や住宅などの資産価値も上昇した。

 稼ぎも資産も増えた何とも有難い時代が日本にもあったのだが、いまはそうはいかない。人口が減少していけば国内の総需要は減少するので、売上げや消費も増えるよりは減る方向に向かうだろう。

 本来であれば政府の唱える構造改革は、大きく変わりつつある日本の構造を根本から変えるのが本筋だが、いまの議論は郵政と高速道路だけ。これでは国民は虎の子の資産を活用して自衛するしかない。

 このところの株高で東証の時価総額(発行株数X時価)は4月の約222兆円から300兆円超えと大きく増加してきたが、増えない時代の増やし方へのヒントはここにある。

 株価の基本的な決定要因は企業の収益だが、ここにきて企業の収益の向上は著しい。売上げが増えないなかでも企業は血の滲むようなリストラに励んで収益を向上させてきた。世界的な景気の回復期待もあり、さらに収益を改善することも可能だろう。株高は企業努力の反映である。

 いまの日本に「増やす」場所があるとすれば、それは株式市場である。株高で時価総額が70兆円も増加すれば、その持分に応じて株主の資産が増加するのは当然であり、銀行など企業の懐具合も大きく好転している。

 株価の上昇、時価総額の増加は個人の消費や企業の設備投資などの意欲を高めるので、デフレ克服にも大いに役立つ。 

 市場の活性化を持続するためには、いまこそ税制や規制を大いに見直し、企業が国内に投資したくなるようにしなければなるまい。日本には幸いまだ1400兆円もの個人金融資産があり、そのなかの約780兆円は金利もつかない現預貯金で眠っているのだから、この資金に「増やす」という意欲を与えることだ。企業が収益を上げ企業の価値を高めれば、株主の資産も当然増える。放っておいても増えた時代は終わったのだから、「増やす」努力を応援するのが国策だろう。