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三原淳雄
 
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2003年10月9日
三原 淳雄

 
株を売れない証券マン
       自力で自分の人生を切り拓こう
 

 株式市場に活気が戻ってくると、個人投資家も元気になってくる。当初は疑心暗鬼で何故株が上がるのか、何れまたぽしゃるのではと半信半疑だった多くの投資家も、所得も人口も減るし年金も将来危なさそうだ、ここは自力で増やすためにも株式投資を考えようと動き始めている。

 講演などで各地を回っているが、どこも大入り満員で1年前とは大違いとなっているのがその好例だろう。
 さて、その投資家の声として最近よく聞くのが、このごろは証券マンがさっぱり株の話しをしてくれないという不満である。

 本人は株を買いたいのに「株はリスクがありますから外債はどうですか」という証券マンも少なからずいるらしい。

 過去13年間の永きにわたり、株価は下げに下げ続け、よかれと思って勧めた株が大きく値下がりし、その度に苦情ばかり聞かされてきたのだから、証券マンの心情も大いに理解は出来るのだが、しかし株式投資を勧めることがそんなに臆病にならなければならないものなのだろうか。

 欧米の多くの投資家のように、銘柄の選択についても全てのリスクは自己の責任と投資家が認識していれば証券マンも勧め易いだろうし、投資家と一緒になって会社の研究なども出来るはずである。

 またバブル崩壊以来様々な証券バッシングが度々起こり、その度毎に当局が出て来ては証券会社を厳しく罰してきたために、処罰を過剰に恐れる風潮が証券マンに広がっていることもある。

 国の大きな政策として間接金融から直接金融へと謳っていながら、現場では些事にまでご当局の目が光っているのでは、値下がりもあり得る株式を証券マンがあえて火中の栗を拾ってまで投資家に勧めなくなるのは当然だろう。いまや証券業界は鳥が鳴かぬ日はあってもコンプライアンス(法令遵守)という言葉を聞かない日はないほど、コンプラが巾を利かせている。将来が予測出来ない市場を相手にコンプラ強化をやれば、処罰を恐れる証券マンが株に寄りつくはずはない。
これを「角を矯めて牛を殺す」という。かくて日本式コンプラとは無縁の外国人に市場の主導権が握られてしまった。この際投資家としては当局に怯える証券マンを当てにせず、自らの力で将来を約束してくれそうな株を発掘する努力をするしかない。天は自ら授くるものを授けるのである。ここは攻めるところだろう。