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三原淳雄
 
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2003年12月05日
三原 淳雄

 
太平の夢の破った3つの事件
             大きな変化がいよいよ始まった。
 

 悪いことは重なるものだと言われているが、日本という国を改めて見直さざるを得なくなるような出来事が、週末に三つも重なって起きたのは何かの啓示ではなかろうか。

 日本の技術は世界に冠たるものだと自負していたはずなのに、日本のロケットはあっさり自爆、ODAの資金を出している中国のロケットは大成功という皮肉な結果となったし、地域経済のためにはメガバンクとは異なる基準で検査したはずの足利銀行はあっさりこれまた倒産させられ、りそな方式を期待していた投資家は大損、加えて栃木県をはじめ足利銀行を応援していた県内の多くの株主も大損となった。
そこへイラクから外交官の殉職のニュースが入ってきた。平和を愛する諸国民の信義を重んじて武装を放棄するという憲法の前文が、ものの見事に空文となってしまった。護憲を唱えていた人たちは、二人の外交官の御霊に何と告げるのだろうか。

 この三つの出来事がわれわれに告げていることは明白である。グローバル化が進むということは、どこの国にとっても自国の国益が何より優先される時代となり、また個人にとっても自分の身は自分で守るという気概を持たねばならない時代になったということなのである。

 「在戦場」という言葉がるように、生き抜くこと自体がどこにいても戦場と同じになったのである。
なかでも市場こそは戦場と同じであり、「売り方」と「買い方」が文字通り戦争していると考えるべきだろう。

 したがって「甘え」は市場にとって格好の餌食となる。どうせ今回もりそな方式で足銀を処理するだろうと、依然として単なるお国頼みの発想で足銀を買っていたとすれば、あっさり国に裏切られ市場の餌食になってしまった。しかし、金融システムにまだ不安が残っているのは確かだが、一方で着実に収益を回復している企業も増えていることを忘れてはなるまい。今回の株価上昇のキッカケはりそなに代表されるモラルハザード相場だが、そのモラルハザード相場が終わり、いよいよ企業そのものを評価する相場へと変わってくるだろう。アメリカの景気も順調だし、つれてアジア、中国も堅調な動きが期待されているので、ここは株価を買うのではなく企業を買う方針で臨みたい。


 しかし、こういう時が投資家にとってはチャンスである。それぞれの企業の価値は株価の振れほど変わるものではないのだから、自分なりの基準(ベンチマーク)をしっかり持って企業の価値を判断し、目先の株価の動きに迷わされることなく押し目をじっくり狙えばいい買い場が見つかるはずである。