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2004年1月13日
三原 淳雄

 
‘04年は「木の葉が浮かんで石が沈む」まともな年
 

 昨年の相場を一言で総括すればモラルハザード相場になるだろう。言ってることとやってることがまるで異なる小泉政権のおかげで「りそな銀行」は国有化されたものの株主は責任を免れ、それを見た投機家が一斉に売り込まれていた問題銘柄に殺到した。年初からの超悲観ムードによってありとあらゆる悪材料が市場を支配し、超悲観レベルにまで売り込まれていた二桁銘柄の多くは安値から5〜6倍にまで買い戻され、思わぬ成金を生むことになった。外国勢が優良株の安値買いに徹していたのに対し、本邦投資家の多くはマネーゲームに興じるという二極化相場となったのも昨年の特長だろう。

 投機が思わぬ結果となると、そのモラルハザードは投機家にも及び、年末には名古屋のTV搭からカネをバラ撒くという飛んでもない奴まで出現する始末。

 モラルハザードも極まれりといった幕切れとなった。

 さてそこで今年だが昨年がモラルハザード相場によって「石が浮かんで木の葉が沈む」様相を呈したのに対し、企業そのものの本質や実力を見直す年になる可能性が強い。

 つまり「石が沈んで木の葉が浮かぶ」相場になるだろう。政府がどんな愚策に走ろうと、世界を相手にしている松下、トヨタ、シャープ、三洋といった高品質の企業を軸に、その周辺の銘柄が物色されるのではないだろうか。ただしどんな優良株でも高値で掴んでは意味がない。あくまでも押し目狙いが肝心であり、目先の株価に惑わされないように企業の実体価値について、充分研究しておかねばなるまい。何故なら今年の大勢観としては必ずしも順風満帆というほど楽観は出来ないからである。国内的にはイラク派兵の問題や参院選もある。また年金負担や各種増税によって国民の可処分所得が減り、景気も腰折れとなることも考えに入れておかねばならないし、年末の狂牛病のような思わぬドル安材料が突発するかもしれない。

 中国経済も過熱気味であり不良債権問題も噂では日本どころではないらしい。

 楽観的に見れば楽観も出来るし、悲観的に見れば悲観したくもなるのが今年の特長だろう。昨年のような世界的なカネ余りによる割安相場の修正高は終わったのであり、今年は石ころのなかから玉を探す作戦が最も効率的になる。大勢は年央高の年末安ではないだろうか。