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2004年2月16日
三原 淳雄

 
「株」とは一体何なのだろう
 

 株式市場が昨年から上昇基調に転じたためか、このところ新春経済講演会に講師として招かれる機会が増えてきた。
市場活性化こそ日本復活の鍵と叫んでいる身としては嬉しい限りだが、参加者の方々の株に対する考え方に正直なところやや違和感も感じている。欧米では株式投資とは企業への出資であり、また出資分に応じて企業の利益を配当として受け取り、企業が成長すればその成長の価値を株主として共有するという認識が確立しているが、どうも日本での株に対する認識は欧米のそれとはかなり異なっているようだ。
講演会場で参加者の方に「株」とは何ですかと問いかけても、はっきりした答えをされる方は少ないし、一般的にも株とは何か危険なもの、株式市場とは投機の場として敬遠される風潮もある。
政治家でも「株などに手を染めていない」とか「株などやっていない」と誇らし気に語るむきもあるが、株主であることがさも悪のような発言する人すらいるのが現状である。言うまでもないが株のことを英語では「ストック」とか「シェア」と呼ぶ。スットクとは資本とか資産の意味であり、投資は資本をその企業に投ずることなのだから、文字通り言葉と行動が一致している。
また「シェア」とは持分のことであり、出資分に応じて収益を配当で受け取る、つまり持分という意味でもある。株主はシェアホルダーなのである。

 英語ではどう使われても株の本来の意味がハッキリ判る言葉で表されるのだが、日本語の株という言葉はどうもそのあたりが曖昧なために、株そのものが誤解されているのではないだろうか。出資者がいてはじめて企業が生まれ、その企業が利益を配分するので出資者も豊かになるのが資本主義の仕組みなのだが、日本ではその意味が理解されぬままに、単に安く買って高く売るマネーゲームが株式投資だと誤解されているようである。
単なる売買ならインベストメントではなく、それはトレーディングである。

 お手許に和英辞典があれば、ぜひ株という日本語が英語ではどうなっているのか、改めて確かめてみては如何だろうか。

 もうこれからの日本は人口も年金もサラリーも順調に増える国ではなくなった。
人口や年金は確実に減るだろう。そんな日本で将来大きく増える可能性があるのは成長を続ける企業の価値であり、その企業のオーナーになる株主は確実に資産を増やせるのだから、ぜひ株式投資の原点を改めて再認識していただきたいと念ずるや切である。