とかく日本では株式投資は単に安く買って高く売ることだと考える風潮が強いが、売り買いするだけが株式投資の効用ではない。
大きく分けてインベストメント、トレーディング、スペキュレーションといった具合に、投資家の資金や性格に応じて投資の方法も多様であり、また長期保有からデイトレードまで売買方法も様々であるが、残念ながら株式投資とは単に安く買って高く売るものと考える人が圧倒的に多いようだ。この日本の株への認識のズレを最近うまく突いて、安値に放置されている企業への外国勢の攻勢が増えている。
ユシロ化学やソトーが外資にTOB(敵対的買収)をかけられたケースなどはその典型であり、企業本来の価値からみて株価が不当な安値に放置されていた姿が浮き彫りとなった。
古来日本の経営者の多くは企業は自分のものと考えるきらいがあり、そのために社外へ配当などで資金を流出させるよりは、自社内に留保しようとするきらいが強かった。
また株価への関心も低いために、時とすると新しく会社を興すよりは買占めた方が安上がりという企業も多い。
PBR(株価純資産倍率)とは一株当りの資産と株価の関係を表す指標だが、その指標が一を割っている資産より株価が低い企業が1000社を軽く越しているのが現状だから、真の価値を探しているバリュー投資家にとっては宝の山だろう。
今回のソトーなどのケースでは会社側が買占めを防ぐために、急遽配当を十数円から一気に200円まで増配したために株価が急騰し、辛うじて買占めを免れたが今後もこうしたケースは続々と出て来るだろう。
改めていまの市場を見てみると配当利回りが2%以上の企業も約1000社近くあるし、PBRの一倍割れもほぼ同数ある。全ての市場の上場数は約3000社だから、3社に一社がこの何れかに当てはまる。
もちろん内容に問題があるために安値に放置されている企業も多いが、目を凝らしてしっかり探せば、外資がTOBを掛ける前に埋もれた宝みたいな銘柄が見付かる可能性も高い。日経平均の当てっこも結構だが、そんな占いごとみたいなことばかりに右往左往するのではなく、自らの眼力で宝探しをするのも株式投資の妙味なのではないだろうか。
株式投資には様々な方法があるのだから、自分に向いた方法を探すことだ。
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