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2004年4月02日
三原 淳雄

 
頭とカネをどう使うか
 

  89年末には約600兆円にも達していた東証の時価総額(株式市場の値段)も、拙劣なバブル潰し政策によって昨年4月には何と約220兆円にまで減ってしまった。

 日経平均も当然大下がりで3万8915円をピークに7千円台にまで下落、高値の約五分の一になった。

 この日本の惨状を尻目にこの間世界の株式市場は活況を呈しNY市場は約五倍の値上がりとなった。1990年代は日本だけが置いていかれたのである。89年末には日本の600兆円に対し400兆円しかなかったNY市場の時価総額は、90年代に1600兆円にまでふくれあがり、アメリカの家計は一気に金持ちになる一方で、日本の家計は痛みに痛むということになったのだが、ここにきてやっと日本にもトンネルの出口の光が見えはじめたようだ。

 それでもまだ時価総額は330兆円でしかないのでピーク時の約半分。もっと増えて然るべきだから政策のよろしきを得、企業がそれなりに頑張れば再び日本の時代が訪れそうな予兆もある。何せ10年以上も為す術もなく他国の繁栄を指をくわえて見ていただけなのだから、そろそろ日本も腰を上げて頑張る頃合であるのは確かだろう。

 ただし昔の日本の姿に戻ることはない。これから人口は減るし年金も増えない。所得も毎年順調に上がっていくわけでもない。

 戦後一貫して人口も所得も資産も増えてきた日本とは全く異なる日本になっているのだから、自分の人生設計のプランも新しいものに変えていかねばなるまい。

 これからの日本で増える可能性があるのは企業の価値であり、そのことは既に楽天の時価総額がJALを越し、ヤフーのそれはソニーを超えていると言う事実が証明している。

 ほんのこの間までは存在もしていなかった企業の価値が、日本経済全体が逆風にさらされているなかで、きちんと企業の価値を増やしている姿からは未来の日本が読めてくる。いまの日本は昔の日本と異なり幸いカネはある。個人の金融資産だけでも約800兆円が増えもしない現預貯金に眠っているのだから、このカネが市場に入ってくれば、時価総額も一気に膨らむだろう。カネが入ってくれば企業も元気になるし、株価が上がれば投資家はもちろん日本全体も元気になる。いまは頭とカネをどう使うかで人生も国の行方も変えられる時代なのである。