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プロフィール
三原淳雄
 

2004年08月13日
三原 淳雄

「転ばぬ先の杖」という知恵
 

アテネ オリンピックに対するギリシャ国民の関心の低さが話題になっていたが、当のギリシャの人たちは開催間近かになると大変盛り上がりますよと、ギリシャ人のひとたちは気にもしていなかった。 
設備や交通の遅れは相当なものだったので周りの方が気にし過ぎていたようだ。このギリシャ気質にどこか相似かよっているのが経済・金融に対する日本人だろう。バブル潰しに際してもバブルが実際潰れて身近に及び、不良債権やリストラによる犠牲者が続出してから大騒ぎしているし、施行直前に大改正されたので騒ぎにならずに終わったが、本来であれば去年1月から導入予定だった複雑怪奇な証券税制も直前になるまで反対の気運すら出てこなかった。 
あんな証券税制が本当に導入されていたら、株価も回復しなかっただろうし、確定申告で長蛇の列が出来、しかも不可解な税金をしっかり取られていたはずである。 
「転ばぬ先の杖」と古人はちゃんと教訓を遺してくれているのだが、何故か現代の日本人は妙に楽天的である。つまり我が身に及ばなければ所詮他人ごと、自分には関係ないと考えているのだろうが、市場に大変化が起きれば必ず我が身に及ぶのがいまのご時世であり、株や土地を持っていなければ関係ないと考えている方がおかしい。 
「関係ない」ですむならそんな楽しいことはない。 
しかしそうはいかないのが市場経済の非情なところであり、むしろ関係ないと考えがちの人の方が被害は大きい。 
関係ないはずの地価や株が下がり、どれほど直接には関係ない多くの人たちがリストラの憂き目にあったか、倒産、破産も関係あればこそ生じているのである。 
その大変化だが既に予定されている大きなイベントが二つある。 
一つはペイオフで今度ばかりは来年4月から実行されるだろう。何故ペイオフしなければならないのかについては大いに異論があるが、関係筋によれば国際公約なのだそうだ(どこの国と約束したのだろうか)。 
もうひとつは株券交換によるM&Aが再来年にも外国企業に対しても解禁される。 
GEの時価総額に対し日立のそれは約5〜6%でしかないので、仮にGEが6%の新株を発行し日立の株券と交換すれば、日立はあっさりGEに買われてしまうというようなことが可能になる。 
東京三菱銀行にしても国内では自分で天下の銀行なんてうそぶけていても、シティBKに較べればその企業価値は五分の一弱。 
よほど努力して時価総額を増やす努力をしないと、あっと言う間に呑み込まれてしまうだろう。UFJをどうのこうのなんてその資産の大きさを騒いでいる場合ではないのである。 
これからは企業の経営者は変化によほど敏感でなければ勝ち抜けないと心得る時代になったと言えるだろう。 
ギリシャ国民の気質を他人ごとと笑っていられる場合ではないのである。 
「転ばぬ先の杖」が何より大事だろう。