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プロフィール
三原淳雄
 

2005年06月02日
三原 淳雄

市場は何を悩んでいるのか
 

 もともと気の長いほうではないが、このごろとみにいらいらさせられることが多い。 
 今年は高収益続出なのに株価はさっぱりだし、世界の個人金融資産の三分の一は日本人が持っているというのに、町にはそんな余裕がある雰囲気もない。 
 本来なら「衣食足りて礼節を知る」はずなのだが、やたら無礼な奴ばかりが増えているのは何故なのだろうか。 
 人間にはもともとそれなりの分際があり、分を知ることで分別をわきまえるようにもなるのだろうが、過去の一億総中流化に飼い馴らされてしまったためか、とかく頑張っている人が成功すると分を忘れて腹が立つのかも知れない。人は人、自分は自分と考えてみればそれなりに納得がいくはずなのに、分別などどこかに忘れてしまったのが日本だろう。 
 このことは企業も同じで、とかく横並び思考がまだ強く残っているし、経営者もまだ自己保身を中心として経営が多い。 
 その好例がいま大流行のM&A対抗策としてのポイズンビルの導入騒ぎだろう。 
 超高給とりのフジTVの経営陣が、一寸若者に脅かされただけで、約1500億円ものカネをみすみす分捕られている姿を見せられると、とても生命から2番目に大切なカネをそんな企業に投資したくなくなるのも当然だろう。成果主義が必要なのは社員ではなく、むしろ経営者たちなのではないか。 
 いっそのこと経営者の報酬を株価連動制に変えてみるのも一法だろう。株価をベースにして株価が当期末に1円上昇していれば、社長は1円当り十万円、専務は七万円、平取りは三万円という具合にボーナスを支給することにすれば、経営もメリハリがついてくるし、投資家にとっても判り易くなり、透明な経営に対してのイライラも少なくなるだろう。経営者も株主も同じ船に乗っているのだから利害の相反もない。 
 政治も行政も市場によってきっちり評価される仕組みを導入することも考えるべきではないだろうか。 
 いまの日本には未来の日本をどう作っていくのかというビジョンがない。少子高齢化の進展で国の形が大きく変わろうとしている時なのだから、国作りのビジョンなしではとても市場は動けない。だから株価は低迷し国民のイライラは募り、手軽にカネを稼ぐライブドアみたいな企業ばかりが出て、国民は更に不満を募らせ顔つきもトゲトゲしいものになる。巾着切りみたいな金持ちばかりを作るのではなく、分に応じて働きが報われる社会にしなければ、遠からずこの国からは志のある人たちは国外に出て行くのではないだろうか。どうしたら「衣食足りて礼節を知る国」に出来るのか。市場はそれが見えないので悩んでいるのだろう。