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プロフィール
三原淳雄
 

2006年11月24日
三原 淳雄

ノー天気ニッポン
 

 かねがね日本はノー天気な国だとは感じていたが、このごろその度合いがますます強まってきているようだ。 
 その好例を政治家と市場に見ることが出来る。国会議員とは文字通り国という名のつく議員なのだが、復党問題でも明らかなように誰も国のことなんか考えていないし、実際この大変な時に「美しい国」とかのんびりしたスローガンしか出していないのが何よりの証拠である。もともと美しかったこの国をコンクリートで固め、山の中まで役所の権限で横並びで杉を植え、そのため川からは魚が姿を消し、山で食えなくなったサルや熊が人里に出てくるようにしてしまって、何をいまさら美しい国なんて言われても失ったものがすぐ帰ってくるはずもない。これもみなノー天気な国選挙のことしか考えていない政治の結果だろう。 
 小選挙区制のおかげで、国会議員はいまや国とは名ばかりの市会議員並みの発想しかしていないようだし、幹部連中も目先の参院選や政党助成金のことで頭がいっぱい。彼らには国を破壊したという「前非を悔いる」なんて言葉はないのだろう。 
 本来未来は過去からやってくるもの。その過去の歴史をしっかり検証せずに、新しく美しい国など出来るはずはないではないか。 
 だから高校も目先に走って、肝心な世界史を吹っ飛ばしたりするのである。 
 「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」と言われるが、いまや歴史はおろか体験も学んでいないとしか思えない。 
 景気がちょっと回復してきたら、もうバブル崩壊の原因や結果の検証もせずに、またぞろ増税に走ろうとしているし、あろうことかいのいちばんに証券税制をもとに戻すのだそうだ。 
 その理由が振るっている。いまの軽減税率(この言葉もおかしいが)は株価対策として緊急避難的に導入されたのだから、期限切れをもって倍に上げるのだそうだ。つまり金持ち優遇はもうやめようということが理由らしい。 
 金持ち優遇は怪しからん、優遇すべきは貧乏人だと言いたいのだろうが、貧乏人ばかりの国にしたら、誰が貧乏人の面倒を見るのか、そのあたりを全く考えていないところが実にこの国らしいし、微笑みたくなるほど無邪気である。もう笑うしかない。 
 誰かがリスクをとって事業を興し、出資を募って企業が生まれ、その企業が雇用や所得を生み、そこから税が発生するのではないか。その企業や出資者が社会に富をもたらすのであり、政府は税を分配するだけの役目なのだが、どうも日本では金の卵を産み始めるや否や、たちまち絞め殺すのが政府の役目と勘違いしているようだ。 
 笑ってしまうのだが、日本にはいま一億円以上の金融資産を持つ人が141万人、つまり百人にひとりはいるのだそうだ。 
 この人数はアジアではだんとつの一位だそうだが、その平均となると下から二番目で、下にはインドネシアしかいないとか。 
 本当の金持ちなどまだ日本にはいないのであり、小金持ちばかりの国でしかないことを忘れているのではないか。 
 だから腰の据わった投資家も育たないし、目立つのはトレーダーばかり。ちょっと様子が怪しくなると一斉に市場から消えてしまう。そのため世界中の株式市場が高値を更新しているにもかかわらず、日本だけが独歩安という情けないことになる。 
 「貯蓄から投資へ」という政治のスローガンも「美しい国ニッポン」と同様に、何故か虚しく聞こえてしまうのも致し方ないだろう。いっそ「考えることを止めようニッポン」とでもスローガンを変えたらどうだ。「考えるだけ無駄なニッポン」でもいい。 
 きっと世界も納得するのではないだろうか。