三原淳雄の言いたい放題 mihara-atsuo.com
プロフィール
三原淳雄
 

2007年07月25日
三原 淳雄

起きないことの方が起きる時代
 

 かねがね外国の人たちとわが日本の人たちの国民性の違いは「起きて欲しくないことは起きないこととする」のが日本「起きた時どうする」が外国ではないかと感じていたし、講演などでこの違いについて再三触れてきた。 
 単一民族で同じ顔をして同じように考えるのが歴史的な日本のDNAだとすればこれはいささか困ったことである。もはや世界は人々も混じり合うし、価値感も多様化するのが当たり前。起きて欲しくないことの方がむしろ起き易いのではないかと考えを変える時だろう。その好例が今回の中越沖地震の東京電力の原発騒ぎである。 
 あれだけ万全な安全対策を施したのだから、たとえ地震がきても大丈夫と東電は考え「まさか」あんなことになろうとは夢想だにしていなかったに違いない。 
 そのため専門の消火チームも社内にはなかったし、消防署に連絡してもあれだけの地震だから到着が大きく遅れてしまった。 
 いまは情報がたちまち世界中を駆け巡る時代なのだからたまらない。黒煙を吹き上げる原発の映像が延々と世界中に同時中継されるという、東電にしてみたら将に起きて欲しくなかった悪夢が現実のものとなってしまったのである。その後の説明もやたらちぐはぐなのは社内にも危機管理の手順がしっかりしていなかったからではないか。 
 5年ほど前柏崎の原発を東電の招きで実際見てきたことがある。 
 素人目には強固に出来ているように見えるし、炉心の真上に実際に上がることも出来たし、現地の職員の説明も安全だとしていたし、事実そのようにも見えた。 
 だからこそ起きて欲しくないことなど考えもしなかったのだろうが、その対応の拙さが実体以上に世界中に与えたインパクトは東電にとっても日本にとっても計り知れない大きなものとなった。 
 新潟の柏崎という地域で起きた事故だが、それでもいまや新潟と聞けば地震に年中見舞われているというイメージとなるように、同じ新潟の柏崎の原発事故だけに日本中が汚染されてしまったような印象を世界中に与えたのではないか。事実イタリアの地方のサッカーチームが日本に行くのは恐いとかで遠征を中止したというニュースもあった。 
 東電のミスは日本全体のダメージとなり始めたのである。 
 そうでなくても日本は特殊な国とみられがちだし、事実最近の投資ファンドに対する対応も外国人から見れば、鎖国的で排他的な極端な国民性と受け取られ始めているふしもある。 
 将来のエネルギー問題には日本の原発技術が大いに日本の地位を高めるのではないかと期待していた身としては、東電の対応の拙さはまことに残念である。 
 投資についても同様に、起きて欲しいことばかりを夢見てにんまりするばかりではなく、起きて欲しくないことが起きたときにどうするか、その時に「騙された」なんて怒り狂って金融庁などに駆け込むような無様な投資だけはして欲しくないのである。 
 「備えあれば憂いなし」とも言う。今回の原発事故を何よりの他山の石としたいものである。