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プロフィール
三原淳雄
 

2008年12月08日
三原 淳雄

忘れるな!!
 

 その昔「君の名は」という菊田一夫作のテレビ番組が大変な評判を呼び、放映中は銭湯の女湯がガラガラになるほどの人気だった。 
 その番組の冒頭で流れるナレーションが「忘却とは忘れ去ることなり、忘れ得ずして誓う心の悲しさよ」という名文句で始まり、忘れられない恋の悲しさを世に知らしめていた。ケータイでメールばかりをしてないで、たまには昔を振り返ってみたら人間とは同じことを繰り返すことが判るだろう。恋の苦しみ以外は人間って案外簡単に忘れるものなのである。 
 そこで質問だが、今年の初めの経済専門紙や雑誌の年頭アンケートはどうなっていたかご存知ですか。意地が悪いから参考のためにいまは無き日経金融新聞の08年1月4日号だけ手元に残しておいた。 
 トップ記事は「日経平均年末一万八千円」続いて「米景気後半から回復」「事業法人の買い期待」と明るい文字が躍っている。 
 そして「今年の株式相場」専門家69人に聞く、とのアンケートが載っていて、それぞれの方々の今年の日経平均の予想があるのだが、年末には一万八千円超えが大勢で一万円以下の予想なんてあるはずもない。 
 一番弱気で一万二千円だったのだから「願いごとと当てごとは向こうから外れる」とは昔から決まっていることを改めて証明してしまったようだ。書いた当人も忘れているのだろう。 
 年初には既にサブプライムローンの問題が話題になり始めていたのだから、プロだと言われている連中でも、如何にこの問題を軽視していたかがよく判る。「年後半から米景気回復へ」と言っていた連中は、そのころまでにはサブプライム問題が片付くと読んでいたのである。 
 ただなかには鋭い見方もあった。但しこうした見方は「サプライズ」として扱われていて、どちらかと言えば突飛な意見として「円高1ドル80円」「バンカメ、メリル統合」「小泉元首相新党結成」があるが、予想とサプライズのどちらが正しかったかは、いまとなっては言うまでもない。サプライズの方が現実に起きてしまったのである。 
 とかく人間は現状がよければいいほど「起きて欲しくないことは起きない」と勝手に思い込む。そのため起きて欲しくないことが起きると、備えなど全くしていないから慌てふためき、日頃はボロクソに罵っているくせに「何とかしてくれ」と政府にしがみつく。 
 今年ももう終り。来年を占うのならまず起きて欲しいことより起きて欲しくないことから考えてみる方がいいだろう。 
 「忘却とは忘れさることなり」もいいが、軽々に専門家の予想を信じて大損したのなら、その経験を無駄にしないことだ。 
 たまには自分の頭で考えるといい。その意味で久しぶりにいい本に出合った。 
日本のことを悪しざまに言う日本人ばかりが増えているが、心ある日本人に読んで欲しい本がある。 
 新潮社新書    竹中正治著 
「ラーメン屋VSマクドナルドーエコノミストが読み解く日米の深層」 
希望を語る大統領・努力・辛抱を説く首相のくだりなどまさに膝を打ちたくなる。 
 バッドニュースばかりを垂れ流すマスコミなんかにかまけていないで、たまにはこの著者のように、自分の頭で考えるのがいまのわれわれに最も必要なことだろう。