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プロフィール
キャピタル・パートナーズ証券
三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2009年10月02日
三原 淳雄

“ヤ”の字の戦略
 

 亀井大臣の中小企業への3年繰り延べ返済猶予案がブーイングを浴びている。まあこの手のある種恫喝でスタートし、評判を見ながら落としどころを探すのは良く“ヤ”の字のつく自由業の方々の得意芸。それを良く知る警察OBがそっくり真似したのだろう。 
 こんな乱暴な政策をまともにやられたら、地方のそうでなくとも青息吐息の信金,信組はそういかれとなって、どっちにしても最後は公的資金投入騒ぎとなってツケは国民に回ってくる。 
 そんなことになれば金融機関の金はわれわれの預金なのだから、預金者も不安だろう。亀井さんは金融機関の金が誰のものなのか、もちろん知らないはずは無いが(東大の経済だろ)劣化していく金融機関に預けている身にもなってみるといい。 
 中小企業に肩入れするのは大いに結構だしもちろん大いに応援しているが、本当に応援するなら仕事が無いから企業は困っているのであり、政府がまずやるべきは成長戦略を確立し、成長産業を育成する支援策を打ち出し時代に遅れている企業の構造改革を支援すべきだろう。 
 オバマ大統領は既にグリーンニューディール政策をスタートし補助金もばんばん出している。あのデトロイトにもオバマの政策で一部には活気が戻っているとか。 
 アメリカが本気を出せばあの国は一気に変わってくる可能性が高い。なぜなら民間にはやる気がいつの時代にもあるのがあの国だし、そのやる気を政策で支援するのだから当然スピードも速い。G20が開かれたピッツバーグが好例である。20年前は錆びだらけだったのにいまは超近代都市に変わっている。 
 もし本気で亀井さんが中小企業を応援したいのなら相続税から手をつけるべきだろう。今回の返済猶予策など不要な優良企業の悩みは相続税であり、真面目に頑張って自己資本を増やし財務が健全な非上場の中小企業ほど、大変な額の相続税がかかってくることをご存知なのだろうか。 
 返済猶予が必要な中小企業は当然財務内容はガタガタだから、相続が発生しても赤字だからゼロなのに、真面目にこつこつ財務内容を健全にすればするほど、根こそぎ持っていかれるほうがよほど不公平だし、潰れて然るべき企業が生き残り、潰してはならない優良企業が相続税で潰されるほうが国家にとっても為になるまい。 
 まず経産省と如何に仕事を作り出すか、日本の産業政策をしっかり練って、また財務省とは無慈悲なこの相続税を無くすべく頑張るのが仕事のはず。 
 もうこれだけ世の中を騒がせたのだから充分ではないのか。もっと国家のために働くのが大臣の使命だろう。やたら大臣風ばかり吹かせていると来年の参議院選挙で国民新党は愛想を尽かされるぞ。あの綿貫神主さんが妙に懐かしい。惜しい人を落としたものだ。