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プロフィール
キャピタル・パートナーズ証券
三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2009年12月18日
三原 淳雄

えらいことになったものだ
 

 「後悔先に立たず」というが自民党のあまりの不甲斐無さに失望し、深くも考えず半ば条件反射的に民主党に票を投じた有権者が、いまひしひしと感じている言葉だろう。 
 それにしても変なことばかりやってくれるものだ。「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる」と言われて育ち、その後市場に身を投じている立場からすれば、いまの鳩山さんの言動は金融庁に何回も捕まるのではないか。 
 市場には[MY WORD IS MY BOND]という言葉があるが、これは一旦自分の口から出た言葉の責任は自分が取るということであり、取引の多くが電話など口頭で行われる市場では言葉がすべて。 
 相手の言葉だけで巨額な取引を瞬時に行わなければならない市場では、言葉こそが信用の源点なのである。切った張ったの市場で相手の言葉がくるくる変わったのでは、市場が成立するはずも無い。鳩山サンなんかはとうの昔に懲罰のうえ出入り禁止になって市場から追放されているだろう。小沢さんも勝手にルールを変えたり約束を反故にしたりしていては、いずれ市場から放り出すべき範疇の人なのだが、権力とは恐ろしいもので「泣く子と地頭には逆らえない」図になってきた。これまたやりたい放題。そのうち多くの国会議員の事務所にはよその国のトップと、うれしそうに並んで写っている写真が飾られるのだろう。 
 上も上なら下も下と嘆きたくなるだろうが、いまさら後悔してもしばらく選挙は無いだろうから、先に立たなかった後悔をするしかない。まぁ身から出た錆と言ってしまえばそれまでだけれど、ここで諦めては肉食系の身としてはこれでは男が廃たる。地元の国会議員たちにしっかり喰ってかかろうではないか。 
 子育て支援とかで子育てに力を入れるらしいが、これも嘘ばっかりで入れないはずの所得制限をするらしいし、ガソリンの暫定税率も据え置きとか。以前一時的に下げたのは民主党がごねたからだろう。あの騒ぎはいったいなんだったのか。嘘で固まった政治が子育て支援なんて言ったとしても、嘘つきの子供ばかりが育つのではないかと心配である。 
 予算にしても今年は埋蔵金や独立行政法人を締め上げれば、何とか辻褄を合わせられるだろうが、来年以降の予算はどうして作るのか。世界で突出して高い法人税は、下げなければ企業は日本から居なくなるだろうし、さりとて消費税はマニフエストで自縄自縛になっているので触れないだろうから、野党時代のお気楽にやっていた時代が懐かしく思いだされることだろう。 
 まるで子供に説教するようなことは書きたくも無いが、「言葉が信用の全て」そして「嘘をついてはいけない」という最低のマナーぐらいは守ってくれないと、日本自体が信用されなくなって迷惑するのは国民なのである。 
 わが「ほら吹き宰相」は[TRUST ME]と、こともあろうにオバマ大統領に啖呵を切ったとか。このトラストという言葉も市場では重い言葉である。つまり「信用」である。あのタイガー ウッズの浮気がばれた時に、多分奥さんに「ビリーブ ミー」と言ってごまかしたのだろうが、「ビリーブ」とトラストは全く重みが違う。 
 一国のトップ同士の会談で「トラスト ミー」と言ったとすれば、命がけで約束を守らなければ昔なら戦争になっていてもおかしくない。タイガーが苦し紛れに言い訳をするとしても、せいぜい「ビリーブ」という言葉は使ってもトラストとは言わないだろう。トラストという言葉には言い訳は許されないからである。トラストという言葉の意味を鳩山さんはスタンフォード出身のはずだから知らないはずはないと、もしオバマが受け取っていたとすれば、これはオバマにとっては鳩山の背信としか考えないだろう。 
 言葉の重みすら知らない鳩山、傲慢小沢のツートップで日本はいったいどこに流れ着くのだろう。そのうち国語は中国語に、第二外国語に日本語なんてならなければいいのだが。孫の時代がほとほと案じられるこのごろである。