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プロフィール
三原淳雄
 

2010年01月29日
三原 淳雄

狂った季節
 

 その昔NYに赴任してほどなく、先に着任していた後輩(のちの日興コーディアル社長 金子昌資)から「三原さんってもっとすばらしい人と思っていた」と言われたことがある。 
 つまり思っていたほどではない、つまらん男だと言われたのだが、その理由は「NYまで折角来ているのに、ゴルフ、マージャン、ピアノバーでは日本と同じではないか、もっとチャンスを有効に使うことを心掛けろ」ということなのだが、まことにご尤もでマージャン、ピアノバーは即止めたが、ゴルフだけは安いのと近いのとで、馬鹿にされながら続けていた。 
 そんなことを言うだけあって、こちらが安いゴルフに興じている週末を、彼は難関のCFA(米国公認アナリスト)試験のために必死で勉強し、日本で2番目にCFAになったのだから、凡人としては反論の余地もない。しかしその彼に一目置かれたのがカンと閃きである。 
 「私は努力の人、三原さんは努力もせずにカンと閃きだけでやっているのでは」とも言われたが、カンと閃きも日頃磨いていなければ、単なるドタ感で終わってしまう。その直感だけは磨いてきたつもりだが、その折角のカンもオバマ大統領の金融敵視政策で狂ってしまいそうになってきた。狂った季節になりそうだ。

口舌の徒の限界

 年初に今年はどんな年になるか、毎年カンを働かせて考ええることにしている。 
 我がカンによれば「今年は日本の年になりそうだ」という世間さまとはいささか異なるものになった。 
 中国の好調もさることながら、今年は意外にアメリカが健闘するのではないか。中間選挙もあることだし、そのためオバマは雇用政策に重点を置くだろうから、年央には雇用に改善の兆しが出てくるだろう。そうなれば何といっても個人消費が1000兆円もあるアメリカのこと、消費の改善は日本企業にとっては大きな追風となるはず。 
 加えて懲りないアメリカ人たちがまた儲け始めたことである。強欲なウォール街は一年足らずで公的資金を返し、大きく儲け始めたので、再び投資を始めるだろう。そうなればベンチャー企業支援なども活性化するし、つれて雇用も回復してくるのではないか! 
 雇用に改善の兆しが見えれば、次は出口政策の議論が始まり、ドルが買われて円が安くなる。これも世界の景気敏感株と言われている日本株には好材料となる。 
 失われた20年に喘ぐ日本にとって、そんな悪い年にはならないのではないかと、年頭にカンでそんな絵を画いてみたのだが、オバマのウォール街への敵意がこんなに強いとは計算外だった。 
 アメリカ国民のウォール街への反感も大きい。しかし経済が前に向って進むためにはまず金融システムをしっかり働かせ、金融機関も利益を出せるようにしなければ、リスクの取り手がいなくなり、アメリカ特有のアニマルスピリットも出てこない。 
 既にデトロイトやシリコンバレーではベンチャー企業が活性化しつつあるだけに、大いに期待していたのだが、理念と演説上手だけでは早晩馬脚を表す。支持率低下に喘ぐオバマにとっては、やはりポピュリズム的政策に走らざるを得なかったのだろう。 
 まだこの法案の行方はどうなるか不明だが、年初に描いたカンによる絵は修正を余儀なくされそうだ。 
 「イエス ウィー キャン」が国民による「ノー ウィー キャンノット」の声に押されたのだろうが、政治家の口舌の徒に惑わされているのは日本もアメリカも同じのようだ。おかげでこちらのカンを狂わされそうになってきた。 
 日本も株や不動産が動いてくれないと、財政赤字がふくらむばかり。日米トップが口舌の徒では、今年はどうなることやら。カンの働かせようがなくなりそうだ。