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三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2010年05月07日
三原 淳雄

満州再訪
 

 ゴールデンウィークを初めて利用して(いつもは引き篭り)旧満州へ行ってきた。混雑する時期はいつも避けるのに、今回出掛けたのは同行メンバーに凄い方々がいたからである。案の定食事のたびに中国に関して博覧強記の方々から凄い話が聞けたし、チチハル生まれ、金州育ち、最後は奉天からコロ島、そこから引き揚げという、子供の頃の危うい記憶や経験に、知識を加えることが出来たのは大いなる収穫だった。 
 
 旅の目的は「日本を愛し、彼の地に散った方々の慰安」だから、行った先は旧日本軍の要塞跡とか開拓団の方々のお墓、そして旅順では203高地など日露戦争の旧跡。(君が代、海行かば、そして唱歌のふるさとを歌う旅) 
 最近開放されたコロ島の引揚げ港など、いわゆる観光とは全く異なる。 
 おまけに大連では折からの北の将軍様御一行と出会い、長時間三度に亘って足止め。 
 旅程がそのためぐちゃぐちゃになり、旧市街は回れず。ただ厳しい日程のなかで奉天(瀋陽)では小学校3年まで通っていた平安小学校を見付けることが出来た。 
 いまや瀋陽切っての進学校とかで、学校の塀に麗々しく特級教師、一級教師の数や、進学率100%などと書き出してあったのにはいささか驚いた。 
 噂では聞いていたが、進学熱の高さは半端ではないようだ。 
  
 今回はロシアとの国境の黒龍江にある黒河という辺境の町からスタートし、日本軍の大要塞があった孫呉へ陸路移動し、そこから夜行列車でハルピン、空路で瀋陽、再び陸路でコロ島、大連、旅順と北から南へと縦断したために、貧富の差をしっかり見ることも出来た。北では犬の肉を食べているのに大連では日本そこのけのペットブーム。 
 犬もどこで生まれるかで大変な違いだし、ビールの値段が北から南へ10元、20元、25元と上がっていくのも極めて興味深かった。 
 また、同行のメンバーで果敢な人が最前列まで出て将軍様の車の写真を撮ったり、車の数を数えたりと(何と48台の大行列)様々なエピソードに満ちた旅だった。 

変わらぬ原則

 そして帰ってきた途端に株式市場は軒並み大荒れ、ギリシャやポルトガルのデフォールト懸念で大騒ぎになっている。 
 歴史的に欧州は戦争の繰り返しであり、その反省からEUが生まれ、その象徴として通貨はユーロ、人の移動はフリーにして理想の実現を目指したのだろうが金融はひとつ、財政は個別という制度にはもともと無理がある。ギリシャやポルトガルなど貧しい国々にしてみれば、自国の労働者は低賃金でこき使われるし、甘い言葉でしゃぶしゃぶ金を貸し付けられるではおかしくならないはずはない。理想は理想で結構だが人間の欲とか市場の貪欲さは現実であり、既にアイスランドなどでも火は噴いている。 
 こうなれば改めて縮むところで縮むしかないのだろう。恐怖に陥ったマーケットは理性を失っているのだから、時として不合理な動きになるのもマーケットの性。 
 
 FXをはじめ目先のトレーダーは、しばらくは目まぐるしい動きを覚悟するしかあるまい。ただし投資家にとってはひょっとしたら大きなチャンスになるかも知れない。 
 市場は常に効率的に動くという説もあるが、それは長期的な話であり、短期的には人間の心理で動くもの。 
 バフェットの言葉に「変わる原則は原則ではない」があるが、その通りで投資の原則はあくまで企業の価値を見定めることにあり、株価が企業価値以上に下落することがあれば、そこは恰好のチャンスとなる。そのためにはその企業が社会によって受け入れられ、将来的にも成長することが前提でなければならないし、経営者の資質も大いに関係してくる。 
 正直で愚直な(鳩山さんとは違う意味で)経営者を探してみようではないか。