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プロフィール
キャピタル・パートナーズ証券
三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2010年06月25日
三原 淳雄

しっかりと考えてみたい
 

 米誌「フォーチュン」7月5日号の表紙はご存知マイクロソフトのビル・ゲイツ夫妻、そしてバークシャ ハザウェイのウォーレン バフェット会長、題して6000億ドル(約55兆円)への挑戦。もともとこの二人、私財の殆どを社会に寄付すると公言し、既にその活動を始めているのだが、その寄付の輪を大きく広げようと、今度は世の金持ちに資産の半分を生前又は死後に寄付する運動を始めたらしい。その彼らの主旨に賛同して集まった面々も紹介されているが、かのジョージ ソロスやブルームバーグNY市長、ディビッド ロックフェラー、ジュリアン ロバートソンといった富豪がずらりと顔を揃えていた。 
 
 ビル ゲイツ氏は54歳で既にマイクロ ソフト社からは引き、いまは夫人と一緒に教育や健康に関するボランティア(フィランソロフィ)活動を始めているが、更にアメリカ中の金持ちを動員することを企てているのである。 
 日産のゴーン社長の年収8億9千万円というニュースがTVのトップにくる国とはスケールも桁も大きく違う。 
 
 いま例によって日本列島は消費税アップの話題一色だが、その額はビル ゲイツ氏の寄付する額と同じ。アメリカの悪口ばかり探していないで、日本のメディアも少しはこうした話題を取り上げてみてはどうだ。 
 
 ここまで書いたところで某新聞社から電話があり、お定まりの消費税についての質問をされた。折から虫の居所がいささかバフェット、ゲイツよりだったため、つい尖ってしまい「そんなことよりどうすれば国民を富ませるかを考えないのか」と逆に詰問調になってしまった。まだ器が小さいなあ。 
 
 いま国の借金は900兆円近くになった。それをどうするか、だったら消費税を上げろとなっているようだが、そんな短絡的なことでいいのか。鶏冠も垂れてやせ細り息も絶え絶えの鶏に、もっと卵を産めと言っているようなもので、国民はますますガードを固くするだろうから、思ったほど税収は上がらないのではないか。 
 
 アメリカなら大勢金持ちがいて、その資産の半分を寄付してくれれば6000億ドルという計算が出来るのだが、日本には小金持ちは大勢いても、大金持ちもいないし、その子金持ちが懐を緩めなければ消費税だって期待通りには増えない可能性もある。そこで逆転の発想だが、まず国民の富を増やすことを考えてみようではないか。 
 
 いま300兆円しかない東証の時価総額を如何にすれば3倍の900兆円にすることが出来るのかをまず考えたい。 
 個人金融資産は1450兆円もあり、対外資産も100兆円以上あるのに、何故株式市場にカネが回らないのかから考えるのである。 
 
 日本人が夢中になってiPADやiPHONEを買っているおかげで、アップルの時価総額は20兆円にもなったが、日立のそれはたったの1兆5000億円。どこかおかしいことに気付くだろう。そのアップルに東証に上場してもらうとか、世界の一流企業がこぞって東証にきてファイナンスが出来るとか、お膳立てをそろそろ考えてもいいころだろう。 
 まずは貧乏人的発想から金持ち的発想に変えることだ。 
 
 突然話題は変わるが、日本円が固定制からフロート制に変わって円高に転じて40年。対ドルで円の価値は4倍になった。 
 それなのに閉塞感しか出てこない日本は何故なのか。答えになりそうなことはいくつか出てくるのだが、いくら考えてもこれだという断定的な答えが出てこない。誰かこの謎を解いてくれないだろうか。通貨の強い国は大英帝国やかつてのアメリカのように大いに繁栄したのに、日本はどうしてそうなっていないのか不思議である。