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三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2010年07月30日
三原 淳雄

五省に缺くる勿しか
 

 世の中もおかしいが、このごろは天気までおかしい。子供のころのスカッとした暑さではなく、何となく肌にじっとりと沁み込んでくる暑さに、いまや老骨は熱中症寸前、外に出る度に立ちくらみそうになる。 
 その影響なのか、世の中も何となくスッキリしない。ご託ばかり並べても仕方がないので、どうすればスッキリ出来るのか、 
 
 「ひとの振りみてわが振り直せ」ではないがまず反省から実践しようと、改めて旧海軍兵学校の「五省」を読み直すことにした。 
(1) 至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか 
(2) 言行に恥ずる勿かりしか 
(3) 気力に缺(か)くる勿りしか 
(4) 努力に憾(うら)み勿りしか 
(5) 不精に亘(わた)る勿りしか 
そしてつくづく感じるのは、自省も含めていまの日本には少なくなったものばかり、だいいち至誠や悖るなど言葉そのものが消えていってしまっているようだ。 
 
 この五省も海軍兵学校と一緒に無くなってしまったのかと思っていたが、驚いたことにこの五省はいまもアメリカの海軍兵学校(アナポリス)では英訳されて掲げられているとか。 
 また海上自衛隊ではいまも標語としているらしい。自衛隊OBにはキリッとした人が多いが、人間何らかの規範はいつの時代にも必要だろう。「バレてもともとと、バレなければ儲けもの」とカネのためには平気で嘘をついたり人を欺いたりするのは「恥ずかしい」はずなのだが、どうなったのだろう。 
 
 トップの人間はたとえ自分が関知していなくても、部下のやったことは全て自分に責任があるという潔さも、いまのトップには見ることが少ない。それどころか「秘書が勝手にやった」とトップが公言している国では、子供たちを躾けようにも親も躾けようがない。恥も死後になってしまったようだ。 
 
 証券会社に勤めていたころ、カネがからむと人格が変わり、出した注文を平気で出してないと言う手合いを沢山見てきたが、そいつらのおかげでいまや市場はコンプラとかが強化され、やたら不自由になってしまった。 
 市場が元気を失えば、その影響は多岐にわたるもの。この暑さではまともに考えるのも辛いが、せいぜい五省は5つしかない。暑さのなかでもういちど唱え直してみよう。