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三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2010年08月19日
三原 淳雄

お盆雑感
 

 8月14日の夜は久しぶりに本気で見る気でテレビドラマ「歸國」を観た。 
 さすが倉本聰氏の脚本だけあって、難しいテーマを感情を抑えて視聴者に考えさせるドラマになっていて、戦前生まれとして思わず襟を正したくなった。 
 もう10年早く生まれていたら戦争に駆り出されていた可能性もあり、いまごろは英霊として靖国神社に祭られていたかも知れないし、もう10年遅く生まれていたら、菅首相のような日和見市民運動家になっていたかも知れない。人間の運命なんて儚いものだ。 
 
 そのドラマの翌日が8月15日。本格的左翼政権かなんかしらないが、それにしても全閣僚が靖国神社に参拝をしないとはちょっと歴史を学ばな過ぎだし、だいいちご先祖さまに失礼なのではないだろうか。 
 それとも全閣僚の誰一人として、親戚、知人のなかに戦争で亡くなった方がいないのだろうか。ご先祖さまの営々とした営みがあってこそ、いまの自分があることを忘れているわけでもあるまい。それとも歴史には目を瞑っておけとでも言うのだろうか。 国と国家の区別すらきっと出来ないのだろう。 
 
 さて市場だが、相変わらずの定番通り円高になると株が下がる。 
 そして円高は国難みたいな騒ぎになるが、自国の通貨が高くなるのは国難なのか。折角の通貨高をうまく活かしきれていない体制の遅れこそ国難なのではないだろうか。円高の原因はアメリカにあるような言い方がされているが、向こうはこの40年間でドルは四分の一にも下がった国ではないか。 
 その国がガタガタになったために円が高くなっているとまるで被害者みたいな言われ方をしているが、これもどこかおかしい。通貨が四分の一になれば、そこの国民は日本の四分の一程度の生活しか出来ないはずなのに、何故あそこまで陽気なキリギリスになれて、かつ日本や中国の経済を支えてこれたのか、その方がよほど興味を惹くテーマになって然るべきではないだろうか。 
 
 カネだけはふんだんに持っていても、国民に豊かさを与えられない国と、カネなどなくても他国からどんどん借りて、そして通貨を減価させながら楽しんでいる国の違いは何なのだろうと考えてもいいころだろう。 日本のように資源に乏しい国にとっては、円高の方が本来メリットが大きいはず。 
 にもかかわらず円高=株安といった流れが定着しているのも不思議である。 
 
 マスコミの不勉強もあって、1ドル円が上がるとこの企業はうん百億の損なんてことばかりを報じているから、その株が売られるのだろうが、日本の企業だってもう40年も円高と直面しているのだから、どこかでちゃんと帳尻は合わせているし、円建てに切り替えてもいるだろう。日本中の企業がまるでJALのように無為無策ではない。そこを考えないから日本株は売られ過ぎてしまう。日本電産のように円高を利用してアメリカの大手企業を買収する企業もあるではないか。相も変らず一方的な円高は被害者という意識から脱っすることを考えてみてはどうだろう。 
 
 ドルが四分の一にまで下がる間に、NYダウは10倍、住宅価格はそれ以上も値上がりしている。だったら日本も資産価値を上げる政案、税制を総動員することだ。 
 そうすればもっと外国からもカネが流れ込んできて、日経平均が10倍になれば、内需など強すぎて困ることになるだろう。もっともその前に本格的左翼政権を何とかしなければなるまいが、これも国民の選択。何はともあれ生まれた国を間違えたなんてぼやかなくてもすむ国を作りたいものだ。