一人勝ちを謳歌していたアメリカの株式市場が大揺れに揺れている。
NY市場の方は基幹産業、いわゆるオールドエコノミーと呼ばれる企業が多いため、せいぜい20%程度の下げに留まっているが、ニューエコノミー関連の多いナスダック市場の下げはきびしい。
約70%も下げて代表的なヤフーなどは200ドル台から10ドル台へと惨憺たる有様となっている。
この下げで吹っ飛んだ富は約4兆ドル(約480兆円)と言われているので、ITバブルに踊った投資家はひどい目に会ったことになる。
ブームは所詮ブームであり、天まで届く株などなかったということだろう。
しかし、一方で大いに評価を上げた投資家たちもいる。
なかでも全米の投資家にとって神様と崇められているバークシャー・ハザウェイという投資会社を運営しているウォーレン・バフェット氏の評価が高い。
何せ弱冠二十二歳にして投資会社を興し、1000ドルからスタートして全米1,2位もの富を一代で築いたのだから、神様扱いされるのも当然である。
その彼の投資の基本はごくシンプルであり「株ではなく企業を買う」「自分の判らない業種には手をださない」「孫でも名前を知っているような会社しか買わない」といった代表的な名台詞があるように、決して奇異をてらうものではない。
そのためIT関連が総崩れのこの下降相場のなかで、この一年の運用成績は60%を上回っている。
株式投資だけでこれだけの富を築いたのだから、大した人ではある。
また、もう一人の神様がフィデリティの名フロントマネージャーだったピーター・リンチ氏がいる。
彼ももうアメリカは駄目だと当のアメリカ人ですら感じていた1977年にマゼランファンドの運用担当者となり、株式市場の低迷する場面のなかで、引退した1989年までの間にファンドの基準価格を20倍にし、運用資産を何と600倍にまでして全米最大のファンドとする大成功を収めている。
彼の投資スタンスもハッキリしていて「知らない株には手を出さない」「子供に1分で何故投資したかを説明出来る」といった方針で投資したのである。
聞けばいとも簡単に思えるだろうが行うは難いのである。
しかし、いまのような時こそ味わうべき含蓄に満ちた言葉ではないだろうか。
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