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2004年2月27日
三原 淳雄

 
二層化した日本
 

 昨年10〜12月の国内GDPが発表された。何と絶好調のアメリカも上回る年率換算7%だとか。予想されていただけに市場は冷静に受けとめたようだが、市場関係者以外の人にとっては大変な驚きだっただろう。身の回りはまだ不況色が強く残っていて、賃金カットだ人員整理だという話しが多いなかでの高成長だから、実感がない回復というコメントが多いのも当然である。回復自体は大層結構なことであり、大企業の収益も目覚しく好転しはじめているし、株価もほどほどに頑張っている現状がGDPに反映されたのであるが、問題はその内容が昔のそれとは大きく異なっている点である。いまの日本はかつての日本とは既に大きく形を変えている。

 それは景気も同様で昔はほぼ全員が好不況の影響をそれなりに受けていたものだが、いまは大きく様相が異なってきた。

 一億総中流時代とは全く違っているのである。極端な表現をすれば日本全体が二極化しつつあると言えるだろう。

 東京や名古屋など中央の一部と地方、高齢者と若年者、大企業と中小企業、カネ持ちとカネなしといった具合に大きく二つに分かれる。

 今回のGDPの成長に大きく寄与したのはアメリカや中国の好調に支えられた大企業が中心であり、中小企業や地方へはその好況が及んでいないし、デフレ現象はまだ続いているので、大金持ちはますます豊になる一方でサラリーマンの所得は伸び悩んだまま。家にたとえれば広い平屋建てだった日本が、2階建てとなり数としては少数が二階に住んでいる姿に似てきたといえるだろう。

 幸い好景気を反映するために必要な名目成長率が、ごく小さな数字ながらプラスに転じているので、将来の雇用や給料に改善の期待もあり、努力次第では2階に上がることが出来る人が増える可能性も出て来た。

 ただしこの二層化した構造は将来ともに変わらないだろう。資産や給料を増やそうと努力する人とそうしない人との格差はますます拡がっていく。

 「求めよ さらば与えられん」の言葉通り、資産もじっとしていて増える時代ではない。求めなければ得られない時代になったのである。やっと日本経済も大きく転換しはじめる気配が出て来た折だけに、2階に上がるには自らの発想も大きく転換させ、自分はもとよりおカネにも大いに働かせる場所を探す努力が求められているのである。