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プロフィール
三原淳雄
 

2006年03月23日
三原 淳雄

あの東証がみずほに過怠金だって?
 

 過怠金という制度がある。これは業界内では当然守らねばならない義務やルールを怠った場合に、所轄の役所なり協会が罰金を課す制度なのだが、あの東京証券取引所がみずほ証券に対して一千万円の過怠金を課すのだそうだ。理由は巨額な誤発注により市場を混乱させたことなのだろうが、そもそも市場を混乱させる原因を作った責任の一端が東証にあることは衆知の事実。その反省も謝罪もないまま、さも正義のような顔をしてみずほ証券に過怠金を課すのは如何なものだろうか。思わず笑ってしまった。 
 制度がそうなっているから、そうするのだという考え方だろうが、ナスダックジャパン進出に慌ててマザーズ市場を作り、ロクに審査もせずに怪しげな企業をどんどん公開しスキャンダルまみれにしたうえに、今度はライブドアによる常識破りの三万分割まで容認し、時価総額拡大戦略に手を貸したのも東証ではなかったのか。 
 「制度上は正しかった」というのが言い訳だろうが、世の中にはたとえ法に触れなくても、人間なら守らなければならないルールはある。謂わば家訓みたいなもので、たとえよその家では許されることでも、我が家では絶対許さないという親が昔はいたではないか。餓鬼もどきの経営者の言い分をそのまま許し、挙句の果てには市場のシステムが対応出来なくなり、市場を途中で止めたり、取引時間を勝手に短縮し、魔の三十分と呼ばれる株価操作まがいの取引を活発にしたのも東証の怠慢が原因だったのではないか。 
 こうした硬直的な考え方を官僚的と呼ぶ。みずほ証券の誤発注に際しても、気付いたみずほ側が一生懸命取り消しを入れているのに、その取り消しを受け付けなかったのも東証のシステムのミスだったはずである。 
 この東証のミスによって発生した巨額な損失は、もしみずほ側が訴訟すれば東証の手許流動性は大きく損なわれ、株主に大きな被害を与えるのは必至である。 
 権限を持ち制度もそうなっているから過怠金を課すというのであれば、正しく権限を行使したのか、制度はどう改めるのか、みずほ側に与えた損失はどうするのかなどなど、きっちり説明するのが筋だろう。過怠金はむしろ逆ではないのか。 
 東証は役所ではない。国民共有の大切な財産であり必須のインフラなのである。 
 この原点はどこにいってしまったのだろうか。これでは世界中の投資家の信頼を失いかねないということを、当事者はまず自覚し、信頼回復の努力をするのがいまの東証が行うべきことではないのか。一片の反省や謝罪もないままではすまされないはずである。