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プロフィール
三原淳雄
 

2006年06月15日
三原 淳雄

この道はいつかきた道
 

 「デジャブ」とは、いつかどこかで見たような、ということらしいが、最近の市場に絡む一連の騒ぎを見ていると、その昔のリクルート事件と重なって見える。 
 とかく一方から一方へと極端に振れる日本の国民性の、悪しき一面がまた出てきたのではないか。つまり「嫉みと嫉妬」である。自分ではリスクもとらず行動もせず、そのくせ口だけは達者な奴がTVなどでさも正義の味方みたいなコメントを口走ると、ご同類の被害者意識一杯の視聴者が同調し、そして暴走する。その結果本来なら関係のない人たちまでも、単に知り合いだとかそこに勤めているというだけで白眼視されたり、いわれなきそしりや悪口を浴びることになる。 
 リクルート事件を思い起こすといい。 
 リクルートコスモスの新規公開株が政治家や官僚に売り出し価格で譲渡され、値上がり益で儲けたことがバレた途端、日本中が正義の士で一杯になり、濡れ手に粟の取引に非難が殺到した。これは大いに責めてもいいし、そんな破廉恥な連中が糾弾されるのは結構なことである。ところがその後がいけない、創業以来の株主だったセコムの飯田さんやウシオ電機の牛尾さんまで、単に株主だったというだけで公職を辞退させられたり、リクルートの社員や子弟までが悪者扱いされたのはどう考えても魔女狩り、大衆のヒステリー、つまり嫉みとやっかみである。 
 どうしてもっと冷静に是と非を区別出来ないのだろうか。「国家の品格」という本が売れているらしいが「惻隠の情」を何と心得て読んでいるのか、疑わしい限りである。 
 リクルート事件のあと、日本がどうなったか、胸に手を当てて考えることだ。 
 株や土地で儲けるのは怪しからん、だからバブルは潰すべきだという一見正論が日本中に拡がり、挙句の果ては不良債権の山、倒産、失業、自殺の激増となったではないか。 
 今回の村上ファンドがらみの騒ぎもリクルートの時とよく似ている。 
 村上がらみとなれば全てが悪となり、オリックスの宮内さんや日銀の福井さんまで極悪人扱いされそうな雰囲気になってきた。 
 儲かるか損をするかなど皆目見当が付かないときの出資者であることを忘れてはいないか。 
 もし彼らが損をしていれば、流石に偉いと褒めたたえるのだろうか。 
 ちゃんと彼らはリスクをとったことをまずきちんと弁えたうえで、議論を起こすのが筋だろう。村上がらみの人脈イコール悪とは短絡的過ぎはしないのだろうか。 
そんなことで折角軌道に乗り始めた日本経済の復活路線を潰し、再びお上がしゃしゃり出てくるような時代へと、時計の針を逆戻りさせることになりはしないのか心配である。 
 「地獄の道は小さな正義という石で敷きつめられている」ことを忘れないことだ。