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プロフィール
三原淳雄
 

2007年04月13日
三原 淳雄

黒船騒ぎはもう止めよう
 

 一寸した変化が起きると、ことの本質よりも大衆受けする小さなことを取り上げマスコミが騒ぎを大きくする。それが妙な被害者意識を先走りさせ時ならぬ「黒船騒ぎ」になるのが日本の特長だろう。 
 外為が自由化された時の騒ぎなどその好例で、いまにもコンビニで外貨が自由に交換できるといった出来もしないことばかりを強調し、肝心な円のグローバル化やその後に起きるであろう市場への影響などが隅に押しやられてしまった。 
 いま円キャリートレードが話題になっているが、本来こうした変化が起きることを正しく報道し、ことの本質を国民に知らせるのがマスコミの役目のはずなのだが、どうでもいいことを大きくしてしまい、そしてケロッと忘れてしまう。まともに考えればあれだけ偽札の多い外貨が自由にコンビニで交換など出来るはずはないではないか。 
 金融危機の時もそうだ。国民の大切なインフラである金融システムが揺らいでいる時に、公的資金は国民の税金だから銀行救済に使うべきではない。その前に銀行員の月給を下げろといった人の不幸は蜜の味みたいな議論の方が面白がられて先行し、肝心の処理が遅れ損失を大きくしてしまった。国民そのものの資質がきっと性根も心根もまだ貧しいままで、おまけに島国のままなのだろう。 
 いよいよ5月から株券交換によるM&Aが可能になるが、この制度改正についても、昨年末から「黒船が来る、大変だ」と経団連までが大騒ぎし、結局一年遅れのスタートとなったが、直前のいまになっても大山鳴動どころか、鼠の一匹も出て来てない。 
 時価総額が比較的小さい日本企業が多いこともあって、いまにも日本企業の多くが外資の軍門に下るみたいに大騒ぎし、時ならぬ平成の黒船騒ぎみたいになったために、またまたことの本質が議論されずにいよいよ5月の解禁となったのだが、大騒ぎしたわりには静かなものである。経団連ですらこれだから困った国である。 
 買われると困るという被害者意識が先行するために、買う側の事情を考えるのを止めているのだろうが、少しは考えてみてはどうだろう。 
 株券交換で企業を買収する場合には、そのほとんどが戦略的買収だろうから、単なる値上がり益を狙った買収とは異なるのは当然であり、買い手も大きなリスクを背負う。 
 M&Aの結果が芳しくなかったり、思わぬ事態が出て来て経営がむしろ悪化したりすれば、買収した方の経営者の地位が危なくなってくる。加えて日興コーディアルのケースのように、日本の会計制度そのものが信用出来ないのでは、疑惑の目で見られがちの日本企業に簡単に手を出せるはずもないだろう。経団連が心配するのならむしろこうした日本の遅れではないのか。 
 M&Aの脅威のみを煽りたてたマスコミは、今回もそんなことを言ったことも忘れて、また知らん顔だろうが、もういい加減に国民の被害者意識を掻き立て、後は野となれ山となれという姿勢を改め、きちんと説明するべきだろう。もし間違えて先走ったのなら、あらぬ誤解を振りまいた責任をきちんと謝るべきは謝るのがスジではないのか。インターネットが発達し、ケーブルTVが普及すれば、いまの新聞やTVがどうなるか、少しは考えれば判るはずだ。平成の攘夷意識を煽るばかりでは国民は惑わされ、結局被害を蒙るのは国民なのである。これを国賊とか売国奴と呼ぶのではないのか。猛省をうながしたい。