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プロフィール
三原淳雄
 

2008年01月30日
三原 淳雄

暫定とは永久のことか?
 

 言葉はとても重要である。ちょっとした言葉のアヤで大事になった経験は誰にでもあるだろう。もともと性格にムラがあって人格には難もある身としては、言葉の誤用で痛い目に会うのは日常茶飯事。言葉はうっかりしたら使い方で人生をも左右しかねないものなのだが、いまの日本は勘違い日本語が溢れているのではないか。 
 賞味期限と有効期限切れでは全く意味が異なるのに、何故赤福があんな大騒ぎになるのかよく判らん。 
 なかでもいま最も腑に落ちないのが「暫定」という言葉の使い方である。暫定の本来の意味はあくまで当座しのぎのつなぎ、取り敢えずという意味だろう。英語では「TENTATIVE」となる。その取り敢えずということで出来た暫定税率が、そのまま何と34年も続いているのに、堂々と暫定税率という言葉で使われているのだから、では言葉は何のために用いられるのか、多分小・中学生は大いに面食らっているだろう。暫定の意味がテストに出たらそれは30年以上という意味ですと答えるのだろうか。いまの状況では先生もマルをつけざるを得ないのだろうか。不思議な国である。 
 そうでなくとも頭が混乱しているのに、そのつなぎであるはずの暫定税率を、更につなぐための法案が出てきた。 
 いま説明すべきは暫定が暫定のまま、何故34年も続いたのか、34年前に税制が出来た時の道路の状況や、自動車の保有台数などは大きく異なっているはずである。 
 かれこれ50年前から車に乗っているが、正直な感想としては車の走れる道はもう日本中に出来上がってしまっているように見えるし、これ以上道路が整備されると、むしろ地方の過疎化がもっと進むのではないかと心配である。故郷の大分など昔は確かに陸の孤島だった。そのため企業も支店や出張所を設け人員を配置していたが、道路が出来て福岡が近くなったがために、支店、出張所が続々とクローズされ、おまけに若者たちは便利になった道路を使って買い物などは福岡に出掛けている。道路の整備のし過ぎは地方特産物のコモディティ化をむしろ進めているのではないだろうか。売るべき特色が失われたのでは観光客も少なくなるし土産品の売り上げも落ちるだろう。 
 いまや道路についてもその功罪をしっかり議論すべきだし、ましてや暫定なんて飛んでもない。暫定を使わないことを前提にしっかり議論をするのが筋だろう。 
 TENTATIVEが日本ではFOREVERとなるらしいと外国から笑われるだろうし、辞書も暫定とか当座という訳語に代わって永久とすべきかも知れない。 
 そうでなくとも不思議な国ニッポンにまた不思議のタネが増えてしまった。 
 優秀なはずの政治家や官僚は、不思議に思っていないのか、それが不思議である。 
 特に日本の優秀な官僚は、これまでにも法律にひと言ふた言加えるだけで、全く違う法律に変え権益を増やしてきた実績があるのに、こんな可笑しな言葉だけどうして見逃すのか、きちっとした説明をすべきではないのだろうか。またスコミもマスコミである。 
 民間人の一寸した言葉のミスを袋叩きにしているのに政や官となると何故甘いのか。ここはきちんと指摘するのがまずやるべきことではないのか。長いものにはやはり巻かれているとしか思えない。 
 
P.S. 
世界的株安状態だが、いま中国の投資家に最も尊敬されているのが、あのウォーレン バフェットさんらしい。そのため私の書いた「バフェット 入門」(ダイヤモンド社)の中国版が出版された。株ブームが一段落すると原点に戻って勉強したくなるのが投資家の常、きっとバブルの夢醒めた中国人が読んでくれているのだろうと思うと楽しい。 
 (何故か印税は入りませんが(苦笑))