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プロフィール
三原淳雄
 

2008年10月27日
三原 淳雄

百年に一度のチャンス
 

 曰く「恐慌の足音」「金融崩壊」「雇用激減」「大不況」「底無し株価」などなど、新聞はもとより多少は良識と言うか経済について詳しいはずの経済誌まで、これでもかとばかりにおどろおどろしい見出しが表紙に踊り始めた。本来ならこんな事態など来て欲しくもないし、来てくれたら困るのだが、そこは人間の面白いところ。 
 見出しにつられて買う人が増えるし、だからこれでもかと脅迫的な見出しが次々と出て来る。わざわざカネまで出して暗くなる本や雑誌を読んでも仕方がないだろうに、読んでは勝手に暗くなって、飲み屋にも寄らなくなるから消費は落ちる、当然景気は悪くなってくるから、不況が来るぞと脅かした雑誌が正しかったことになりかねない。 
 しかし昔にもこんなことはよくあったはず。2002年〜3年にかけてどれだけ沢山の新聞や雑誌がもう日本はダメだと、口を酸っぱくして日本ダメ論、銀行もゼネコンも不動産も株も全てダメと書いていたのではなかったか。そしてそこが底だった。これは何も日本だけではない。 
 アメリカでも1979年にあの「ビジネスウィーク」誌が大見出しで「株式の死」(デス オブ エクイティ)という特集を組んだことがある。それまでの17年間、NY市場は低迷しダウ平均は500〜1000ドルの間を行った来たりだったのだから、ある意味では正しいタイトルだっただろう。 
 ところがメリルリンチが猛然とこれに噛みつき、「当社はアメリカに強気である」という全面広告をだして対抗する騒ぎとなった。 
 どちらが正しかったかはその後の歴史の証明するところである。バフェット氏はそれを身を以って示してくれている。 
 あのビジネス ウィーク誌は将来必ずからかえる材料に使えると考えて、大事にとっておいたはずなのだが、残念ながらどこかにいってしまい見つけられなかった。 
 30年近くも前の話だが、世の中とはそういうもの、何ごとも忘れたころに起きるものなのである。「喜び悲しみ繰り返し」と中島みゆきさんも唄っているように、だから人生って面白いのである。 
 逆説的に言えばこれからはやる気のある若者には願ってもないチャンスが来たのではないだろうか。もともとやる気のない連中はますます落ち込むだけだし、当然志気も知性も失いつつある。前途に不安を抱えていながらハングリー精神もないし、だからズボラになって自分の頭で考えることすらしない。格差時代の犠牲者をもって任じているから、自分の無気力や努力の欠如は棚に上げ、全て悪いのは世の中のせいにして、自省の念など全くない。そしてイージーな金儲け走り株やFXで私はこんなに簡単に稼いだといった類の本やネットに飛びつく。 
 こんなことをしていてはいけない、こんな時だからこそ自分は違う道を行くんだ、必ずこの修羅場を乗り切って見せると考えている人たちなら、いまはそれこそ百年に一度のチャンスと考えるだろう。 
 人間もともと百年も生きはしないのだから、大人たちがヘトヘトになっている時だからこそ、むしろ若いうちにこんな出来事に出会えたことをプラスと受け止めるべきだろう。 
 いまの世界をひと言で言えば「理不尽」なことばかりが起きているのだから、理不尽なことは何れ必ず修正される。 
 何が理不尽で、何が正常かをしっかり考えるだけでアイディアはいくらでも出て来るだろう。年寄りに富が偏在しているのが理不尽と思うのなら、その年寄りを口説いて起業資金を出させることを考えるとか、自分にないのが経験や知恵ならそれを教えて貰うのもいいだろう。年寄りのカネと知識や経験、そして若者は時間と元気を組み合わせることが出来れば、再び世界に冠たる日本の時代に出来るのではないだろうか。新聞や雑誌を読んで落ち込んでいる場合じゃないだろう。人生の勝敗はこんな時の立ち回りで決まるのである。