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プロフィール
キャピタル・パートナーズ証券
三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2010年09月17日
三原 淳雄

なめたらあかんぜよ
 

 6年半ぶりに行われた日本の為替市場への介入を巡って、その有効性や反響について急に世間が賑やかになり、例によってその効果について自虐的で否定的な見方かも一杯出て来た。なかでも笑ったのはあのグリーンスパンをTVに引っ張り出して「単独介入は失敗だろう」と言わせていることである。何で他国のジーさんの意見を聞くのかよく判らん。 
 
 またNYタイムズのような反日的な外国のメディアを引用して「日本は怪しからん、国際協調性に欠ける」なんて記事も見たが、円高の良し悪しを論じるならともかく、何でもすぐ外国の意見を気にするのはもう止めたいものだ。日本は自国の利益を突っ張ればいい。 
 
 どこの国だって他国のことなど構っちゃいないし、外国と仲良くするのも自国の利益を考えてのことである。外国も市場も仲良しクラブではない。プラザ合意前後の騒ぎをもう忘れたのだろうか。あの時日本は外国から円の切り上げを迫られ、国際協調という美名のもとで無理やり円高を容認させられ、またブラックマンデーの世界同時株式市場の大暴落時には、最後の拠りどころ(ラストリゾート)だから低金利、円高を続けろと外国から強要され、利上げすらままならずに、その後のバブルの原因を作ったのも、外国の評判を気にし圧力に負け自らの国益を二の次にしたからである。 
 
 いまになって外国のメディアは日本を散々非難しているようだが、これまで散々自国のエゴを剥き出しにした過去のことなど、ケロっと忘れるという都合のいい健忘症にかかっているのだろう。 
 いまこそ「日本は最後まで辛抱するが、怒らせたら恐いぞ」と世界に示すチャンスにするべきだ。 
 
 尖閣列島の漁船の件は珍しく日本もよくやっている。自分は勝手に潜水艦や測量船を日本の目の前に堂々と浮かべているくせに、たかが漁船ごときで反日デモの嵐とは余りにも勝手だろう。もっともそれが中国人なのだが。 
 今度もチンケな漁船に航海侵犯をさせ、日本の出方を探りに来たのだろう。 
 これまでソ連やロシアが日本の漁船にどんなことをしたかわが身を振り返ってみてはどうだ。その責任は好き勝手に李承晩ラインなど作り、漁船をどんどん捕まえた韓国の例もある。 
 竹島問題もそのころの名残りである。 
 
 それもこれも憲法で「他国民の信義を重んじ、武装を放棄する」なんて言っているから、なめまくられるのである。戦後もう70年近くになる、国益に沿った憲法に変えてもいいのではないか。 
 
 どこの国も自国の利益の前には信義なんて重んじるわけはない。不可侵条約を踏みにじったソ連が好例である。国益より私益を大事にし、パブリックの利益より私益を優先し「ごね得」なる言葉が市民権を得ているこれまでの日本がおかしいのである。(ごね得は英語になかなか訳し難いし、説明するのに苦労した覚えがある)外国から何と言われようと、それが日本国民の利益になるのなら、そして国際法上問題がないのなら堂々と突っ張ることだ。 
 
 その意味で是非はともかく今回の介入は、国家の意思を表示したという点で経済的な損得以上に大いに評価するに値するだろう。もともとNYタイムズなどは反日的だし、人気失速中のオバマ大統領一派にしてみれば叩き易い相手と思っているだろうから、たまには「やる時はやるよ」という気概を見せるのは国益に沿っている。 
 少なくとも日本円を玩具にしていた投機筋にとっては肝の冷えた瞬間だっただろう。お灸を据えたのもいいことだ。